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BNDES総裁を更迭=財務相権限を強化=「アミーゴ人事」に党内で批判=要人交代は16人目

11月20日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】ルーラ大統領は十八日、社会経済開発銀行(BNDES)のレッサ総裁を解任し、後任にマンテガ予算管理相を充当することを発表した。レッサ総裁はこれまで政府に反発してきたが、とくに経済・金融政策をめぐり財務相や中銀総裁との衝突が激しくなってきたことで、大統領が解任を決断した。解任劇は政財界で賛否両論を巻き起したが、大統領と財務相および中銀総裁の間のパイプが強固であることが認識される結果となった。これに伴い十一月中に、閣僚を含む政府要人七人が辞職や更迭されるという事態になり、与党労働者党(PT)内部からも大統領や側近の「アミーゴ(友達)人事」や選挙功労人事は終わりにし、党外から優秀な人裁を登用すべきだとの声が上がっている。

 ルーラ大統領は先週からレッサ総裁の更迭を決断していた。大統領は同総裁を推挙して後押ししたPT上院リーダーのメルカダンテ上議をプラナルト官に呼び通告した。
 同上議によると、これまでにパロッシ財務相とメイレレス中銀総裁との間に金融政策で意見の喰い違いがみられ、レッサ総裁は公の場でそれを批判してきた。また大統領が、BNDESからの融資を早めるよう要請したのに対し「銀行はパン屋ではない」と一蹴したことで不信を招いたという。
 いっぽうで新総裁に任命されたマンテガ予算管理相の就任まで同省のマシャド長官が代理を務める。
 これを受けて政財界に衝撃が走り、賛否両論が湧き上がった。ブラジル工業連盟は遺感の意を表明し、大統領の決定を批判する態度を示した。下院クーニャ議長(PT)も「残念だ、心臓が痛む程悲しい」と語った。
 またPTの過激グループは、政府の金融政策を財務相と中銀主導で一本化し、批判した者は排斥されるのは問題だとした上で、大統領がメイレレス中銀総裁を擁護していると、高いつけを支払う結果になるとの極論も飛び出した。
 いっぽうで十一月に入り七人の要人が職を去り、ルーラ政権誕生以来では、その数は十六人に上った。これに対し大統領の側近筋は、内閣改造はさらに続くとの見解を示し、「アミーゴ人事」の時代は終わったとして、党外の優秀な人材を登用すべきとの認識を明らかにした。
 十一月に辞職した閣僚及び要人は
▼ジョゼ・ビエガス…大統領自身が国防相に任命。しかし激しくなった軍内部との対立に耐えられず、軍指令官らを非難しながら辞職した。
▼カルロス・レッサ…今回の当事者、やはり大統領が選んだ一人。
▼カッシオ・カセブ…パロッシ財務相の推挙で伯銀総裁に。数々のスキャンダルが暴露され、解任される前に辞表を提出したとのもっぱらの噂。
▼ガストン・ワグネル…大統領に選ばれて保健者長官に就任した。
▼フレイ・ベット…社会福祉関連の大統領特別補佐官。閣僚とくにグラジアーノ大臣とそりが合わず辞任。
▼ジョアン・ルイス・ピナウ…失踪事件の特別調査委員長。やはり省内で意見が合わず辞任。
▼リカルド・コッチョ…大統領の個人的友人。大統領府報道長官。任務は終わったの言葉を残し辞任。