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日文研運営、USPに移管=日文連が引き渡し=74年から30年間維持、管理=今後も事業内容は変わらず

11月20日(土)

 【既報関連】サンパウロ大学日本文化研究所(=Centro de Estudos Japoneses、織田順子所長)が入居するカーザ・デ・クウツーラ・ジャポネーザ(CASA DE CULTURA JAPONESA)の維持運営主体が、日伯文化連盟(槙尾照夫会長)から大学に移管することになった。引き渡し式が十八日午前十時から同建物の小講堂で開かれ、アドルフォ・メルフィ総長や槙尾会長など関係者が約百人が出席した。
 式ではまず、織田所長が同研究所の沿革などを説明。一九七四年から三十年間、維持・管理をしてきた日文連の槙尾会長、上原幸啓前会長(文協会長)に花束を贈呈した。
 挨拶に立った槙尾会長は「大学側との契約はこれで切れてしまい、これからは大学に任せていくことになります。しかし、日伯の結びつきが薄れてしまうわけでは決してありません」などと述べ、大学側の働きに期待をかけた。
 この後、同会長とメルフィ総長が契約更新を打ち切るための文書に署名した。
 メルフィ総長は「建設が始まった当時、ポルトガル、イタリア、ドイツなどの国が友好の証しとして、日本文化研究所と同様の建物をつくる意思を表明した。具体化したのは、日本だけ」と関係者の努力を称えた。
 さらに、「維持管理主体が変わっても、これまでと事業内容は変わらない。日本文化の普及に力を入れていきたい」とした。
 式には石田仁宏サンパウロ総領事、阿部尚久国際交流基金日本語センター主幹、ヒラノ・セイジ・哲学・文学・人文学部部長、石橋隆介JICAサンパウロ支所次長などが出席した。
 織田所長は「日文研はこれまで通り、哲学・文学・人文学部に属し、学部と大学院へ教師の派遣をする。これからも、日本政府などに協力して研究成果を上げていきたい」と話した。
 建築に当たって支援した日本政府、経団連、万博基金、日系コミュニティーと日文連の功績をたたえる顕彰プラッカが除幕された。
 同大学では、裏千家ブラジルセンターが二十七年間、講座を開いているほか、生け花協会に所属している流派が毎年交互で講座を受け持っている。この日、裏千家により茶の湯が振る舞われたほか、草月流が生け花の展示を行なった。
 カーザ・デ・クウツーラ・ジャポネーザはエルネスト・ガイゼル元大統領と田中角栄元首相が取り交わした日伯共同事業の一つ。一九七四年十一月に定礎式を行い、約一年半後の七六年四月に竣工した。地下一階、地上三階建。サンパウロ大学が三千五百メートルの敷地を無償提供。日伯両国から総額八百二十万レアルが投ぜられた。