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少年の死因トップは殺人=サンパウロ市=交通事故死を抜く=動機の多くは金銭トラブル=パレスチナ犠牲者数に匹敵

11月19日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十四日】サンパウロ市内の五歳から十四歳までの少年の死因として、殺人がランキングのトップに踊り出たことが明らかになった。以前は交通事故死がトップで、殺人による死亡は四位だった。地域別では犯罪多発地区で殺人が多く、グラジャウ、ブラジランジア、シダーデ・アデマルの順となっている。死亡者数はイスラエルとパレスチナの銃撃戦や空爆の犠牲となった少年や少女の数に匹敵する。

 州立データ分析財団(SEADE)が取りまとめたところによると、九九年から二〇〇三年までの五年間に、五歳から十四歳までの少年一千六百十四人が死亡し、このうちの一七・五三%に相当する二百八十三人が殺人の被害者だった。次いで病死(腫瘍)が一三・八一%、交通事故死が一三・六九%、脳死が八・二四%となった。
 それ以前の九四年から九八年までの五年間は、死者二千二百二十九人のうち交通事故死が二〇・八六%、そのほかの事故死が一一・九三%、病死が一一・三九%で、殺人による死亡は一〇・七六%(二百四十人)と四番目にランクされていた。
 地域別では、犯罪多発地区で死者が多く、トップのグラジャウは過去五年間で二十九人が殺害され、一〇・二四%を占めた。これは西部地区(十三人)と都心部(二人)の合計よりはるかに多い。この地区は昨年のみで、年齢に関係なく三百十八人が殺害され、市内九十六の警察管内の最高を記録した。また一家の大黒柱の五〇%が最低賃金の三倍以下の収入という貧困地区でもある。二番目にランクされたのがブラジランジアで五・三%相当の十五人。三番目はシダーデ・アデマルで四・六%相当の十三人だった。
 また、殺人は年令別では十二歳から十四歳までに集中しており、二百八十三人の死亡者のうち八七・二七%に当たる二百四十七人だった。ランキングでは九九年、二〇〇〇年、〇二年はトップだが、〇一年と〇三年は二位となった。とくに〇三年は四十二人と過去最低となった。この傾向はサンパウロ市内の少年のみで、サンパウロ州全体や少女には該当しない。
 しかしサンパウロ市全体の殺人と比べると少年の被害は一%となっている。過去五年間に殺人による犠牲者は全ての年齢層で二万七千三百九十五人だった。このうち十五歳から三十九歳までが七七%を占めた。
 いっぽうで同財団は、〇〇年から〇二年の間にイスラエルとパレスチナとの紛争で、十七歳までの少年少女三百二十二人が命を落としたのと比較し、サンパウロ市では同時期に二百二十五人(十四歳まで)だったとし、十七歳まで含めると、紛争の犠牲者に匹敵する数に上るとの見方を示している。
 少年の殺人事件の多くは金銭がらみだという。麻薬代金のいざこざもさることながら、盗品を売りさばいてかせいだ金を一人で使い込んで不良仲間のリーダーに殺されるケースも多い。各地区には児童相談所があり指導員が相談に乗ったり、身の危険がある場合は避難所に収容して身を隠すなどの手助けをしている。