南日伯援護協会(ポルトアレグレ)の「援協ニュース」~徒然(つれづれ)~の欄に、長編の自分史をむりやり書かせられた?六十五歳のYさんの随想が掲載されていた。読んでいて笑いがこみあげてきた▼よくあることだが「オレはやるぞ」と人前で宣言し、引っ込みがつかなくなり、結局やらざるを得なかったという話である。ただ、自分自身を引っ込めない立場に追い込むことは、日常あえてやったほうがいい、と思うこともある▼Yさんの場合はこうだ。南日伯援協にJICAの青年ボランティアで来ている女性が「援協ニュース」を持ってきた。そこに「北九州市自分史文学賞」作品募集の広告が出ていた(本紙でも紹介した)。Yさんは、うっかり、書いてみようかな、と呟いた。女性は募集の詳細を書いたパンフレットを持参した▼Yさんは、ゴルフ仲間にも「二百枚の原稿を書くとはどれくらいのものか…」と執筆宣言をしてしまった。奥さんは、男が書くと言った以上、書かなければ一生笑い者になる、と〃脅迫〃し、執筆現場に好物を運んだ。友人、知人たちは、何度も「作家先生、元気?」と電話してきた▼Yさんは、投稿日の一カ月前、カレンダーに毎日必ず書く予定枚数を書き込み、それを消していった。そしてついに達成!日本への送料と原稿のコピー代に二百レアル出費した。セルベージャに換算し六十本、惜しい気もした、と書いた▼いま「自分だけ苦労したのは不公平だ」と人にも執筆をすすめている。 (神)
04/11/19