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学校教育水準は後進国並み=ユネスコ調査=低い進級率=求められる質の向上=初等教育の普及は評価

11月10日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】学校教育の水準でブラジルは後進国並みの低いレベルに位置づけられている。ユネスコ(国連文化・科学・教育機関)が八日に発表した世界ランキングで百二十七国中、ブラジルは七十二位だった。ラテン・アメリカでは十一位となった。今回の調査でユネスコはブラジルの初等教育機関への就学率が三十二位だったことから、政府が教育の普及に成果を挙げた点は高く評価するものの、進級率が低いことで、教育内容の質に欠けると指摘している。四年生以上への進級率はランキングで八十七位だった。タルソ教育相はこれを受けて、結果は不本意とした上で、全ての児童を就学させるのは画期的な事で、その目的は達しつつある。今後は第二目標の質の向上を目指すとの意向を示した。

 ユネスコによると、ランク付けの際にブラジルは「教育内容の向上」について減点を余儀なくされたという。この項目は文盲率、初等教育機関への入学率、男女の就学率、四年生以上への進級率が対家となった。その結果、文盲率(成人)は六十七位、入学率は三十二位、男女比率は六十六位と世界でも中クラスに入ったが、四年生以上の進級率が八十七位となり、足を引っ張った形となった。
 さらにブラジルでは小学校への入学は七歳だが、先進国および中南米諸国は五歳か六歳となっており(ニカラグアとスリナムは七歳)この時点で二年の差がついている。さらに卒業年齢は十四歳で、他国の十五歳よりも早い。また、授業時間が他国では平均四時間二十五分から五時間なのに対し、ブラジルの平均は四時間十五分となっている。中でも教育レベルが高いとされるサンパウロ市でさえ四時間(一日三交代制)と、最短となっている。
 ランキングでのラテン・アメリカ各国の位置は、アルゼンチンが二十三位、キューバ三十位、チリ三十八位、コスタリカ四十四位、メキシコ四十八位、パナマ四十九位、ベネズエラ五十位、ウルグアイ五十七位、エクアドル六十一位、ペルー六十六位となり、ブラジルより下位となったのはパラグアイ七十四位、ボリビア七十六位、コロンビア八十六位、エルサルバドル八十八位、ニカラグア九十五位、グアテマラ九十八位だった。
 タルソ教育相はこれを受けて、これまでの政権では実現できなかったこともあって、就学率の向上は画期的なものと評価した。現在七歳から十四歳の九七%に当たる三千六百万人が就学している。また文盲率も九一年の二〇・一%から〇一年は一三・三%に低下したとして、今後は教師の質をも含め、充実した内容の学校教育を施したいとの見解を明らかにした。
 いっぽうでルーラ大統領は八日、ブラジリア市で開かれた第四回教育シンポジウムで演説し、教育予算は経費ではなく先行投資であり、来年の予算は二百七億レアルで、今年より三十四億レアル増加したと述べ、「必要とあらば、いつでも追加する用意がある」と教育の重要性を再確認した。