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コラム 樹海

 ちょっと古いのだが十月二十三日付けの「大耳小耳」に和歌山市にある移民資料室のことが書いてあった。移民に関連する蔵書が八千冊と絵画や新聞資料も一万点というからかなり充実していると見ていい。あの和歌山県は明治の頃から海外に向かって多くの移民を送り出したところであり、確か―帰国した移民たちが作った「アメリカ村」もある▼そんな関係やいきさつもあっての移民資料室であろうが、コロニアでもこれと同じような施設を作れないものかと思う。笠戸丸に始まってブラジルに移民した日本人は二十四万人。それが子や孫にまで膨らみ今やほぼ百四十万人という集団になった。大臣になる人、農業の神様と評されるようになったのは大いに喜ばしいけれども、肝腎な「移民」に関する研究は必ずしも充分とは言い難いのではないか▼近ごろは「移民学」とでも呼ぶべき動きが見られるし、研究者も増えているらしい。こうした意味からも移民に関した図書や史料などを収集した「移民図書室」といったものがあれば将来的にもきっと役立つ。移民たちがこつこつと綴った文も大切だし各地の団体の記念誌なども立派な史料になるはずだ▼ハワイの大学には素晴らしい移民史料があるそうだし、作家である故・梶山季之氏も移民小説を書くつもりで集めた貴重な史料を寄贈したとも聞いている。移民と言っても幅は広い。何もブラジルに限ったものではなくハワイやアジアへ向かった人らも含めた広大な移民史料を集めることができれな誇りうる財産になると思う。                                                          (遯) 

04/10/30