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国境越える移住地交流=手っ取り早い食品=パラグァイでも『山くらげ』初登場=イグアスー農協のお惣菜コーナーで

10月27日(水)

 小泉首相の劇的な訪問で脚光を浴びたグァタパラ移住地で、茨城県出身者がブラジルで初めて栽培に成功、去る七月、サンパウロ市で開催された第七回日本まつりで秋田県人会が料理を登場させて注目された「山くらげ」(本紙・七月二十三日と八月三日報道)が、去る十三日、国境を越えたパラグァイのイグアスー移住地で初お目見えした。手づくりの〃炒り煮〃となって、農協スーパーのお惣菜コーナーに登場したもの。
 作ったのは、プロジェクトDの面々だ。Dはスペイン語DAMASの頭文字で、このグループは幸坂幸子さん(神奈川県出身)を中心に、井上芳恵さん(奈良県)、綿谷悠子さん(パ国生まれ、福島県)、福井珠美さん(パ国生まれ、山形県)の三人に、農協に勤務している日系社会青年ボランティアOGの石田喜美子さん(富山県)で構成されている(本紙・〇二年十二月七日報道)。
 「お惣菜コーナー」は今年の十二月十日に開設三周年を迎える。すでに地域社会に定着して、常連客が増えているという。毎週、月曜日から金曜日まで日替りメニューで提供している。「大豆料理は続けて出しています」と幸坂さんは言う。移住地がパ国の大豆生産地の一つであることはもとより、健康食として多くの人たちに食べてほしいからだ。
 毎朝七時に農協炊事場で調理を始め、十一時には客が待つお惣菜コーナーに展示される。料理に自信があるとはいえ、主婦が週五日の午前中、家を空けることは容易ではない。家長と家族の理解があって実現可能だ。〃奉仕精神〃が鍵、と言っても過言ではないだろう。
 このたび、ブラジルのグァタパラ農事文化体育協会(川上淳会長)から「山くらげ」が寄贈された。早速、プロジェクトDが「炒り煮」を作ってお惣菜コーナーに登場させた。
 昨年十一月、大豆「オーロラ」に注目したグァタパラ文協が種子をイグアスー農協(井上幸雄組合長)に注文したところ、種子が寄贈品となってグァタパラに届けられた。グァタパラ移住地でのオーロラの栽培は、本紙・今年二月七日報道の通りである。そのお礼に山くらげが農協に寄贈されたもの。
 「山くらげ料理は歯応えがあって美味しい」と客からすぐに反応があったため、プロジェクトDは早速グァタパラ移住地に新規注文をすることを決めた(グァタパラ移住地がイグアスー農協に発注していた新しいオーロラ種子は十月十五日に届いたため、グァタパラでも蒔きつけ準備が始まった)。国境を越えた日系移住地相互のこのような交流はまだ緒についたばかりだが、継続され、強化されることを期待したい。