10月20日(火)
【東京支社】後藤博子参議は十三日午後、外務省で谷川秀善外務副大臣と懇談。整理縮小が進む県費留学生・海外技術研修制度の継続を求める日本留学生研修員ブラジルOB会(ASEBEX)が集めた署名二千五百三十八人分を手渡した。谷川副大臣は「大変な量を預かった。必ず大臣にお届ける。景気が悪くなると、文化や教育にしわよせがくるが、それは考えなければならないと、私は思う」と語った。
同制度は、地方公共団体が中南米などの現地都道府県人会、または各国の姉妹都市との人的交流・人材育成支援を行う国際交流の一環として、留学生・研修生を受け入れる事業。外務省は地方公共団体補助金として、申請のあった案件につき二分の一の経費補助を行ってきたが、「地方分権推進計画」による補助金制度の見直しの一環から廃止された経緯がある。
これまで補助金として七億円が組まれていたが、五・七億円に減額。外務省の力により制度は全廃されなかったが、経費は一般財源より捻出されるため、他の事業に使われる可能性も出てくる。今後、事業の整理縮小は必至な状況で、制度の継続を訴えるOB会では、熱心な署名活動を繰り広げてきた。
昨年八月にサンパウロで開催されたブラジル戦後移住五十周年式典に出席した後藤参議に面会し、直接陳情したのが活動を始めたきっかけだった。
「自分たちの後輩のためにも、制度を続けたい。どうしたら、日本政府にお願いできるのでしょうか、と尋ねられた。そこで署名を集めたらどうかしら、とアドバイスした」
後藤参議は電気関係の技師である夫と一九八一年、ブラジルに工業移住。国会議員の中で、ただ一人のブラジル移住経験者だ。
「現地の空気に触れてわかることがたくさんある。微力ではあるが、私が日伯の掛け橋になれればいい」
今年八月に参議院ODA調査の一員として、再びブラジルを訪れた後藤参議は、空港でOB会から署名を預かった。それから二カ月。「ようやく約束の一つを果たせほっとした」と後藤参議。
「県費留学・研修制度がなくなれば、自力で日本に来て勉強しなければならなくなる。そうなると経済的に恵まれているごく一部の人に限られてしまう。幅広い多くの人びとに日本にきて勉強してもらい、世界に貢献してもらう人になってもらうことは素晴らしいこと。私は、日本人としてもこの問題に取り組んでいきたいと思っている」と力強く語った。