近くて遠い国。互いにそう感じていた時期が長かった日本と韓国。だがサッカーW杯後は、両国間に強い親和力が働き始めている。
そんな折、韓国人青年と会った。二十二歳。ふとしたことから恋愛の話題になり、「彼女はいません。近く兵役を控えていますから」。二年以上の服役が義務だという。
プロ野球選手、俳優らの兵役逃れが最近明るみに出た。「でも兵役は韓国人男性の人生だと思っています」。内気そうな青年もこのときばかりは毅然とした口調だった。
劇団の管理役として七月から欧州を巡業、アテネ五輪会場での公演も成功させた。それだけでも十分な挑戦。貴重な経験なのに、もう次の試練に彼は臨もうとしている。
始めは「後輩」に接するような気持ちで対話していたが、自分より年下の、この青年が、ずいぶん大きく見えた。(大)
04/10/19