10月15日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十四日】教育省は十三日、十八歳から二十四歳の青少年の大学進学率が、僅か九%に過ぎないとする国勢調査の結果を発表した。昨年比でも学齢期の進学率は横ばいであり、政府が目指す人材養成の目標三〇%には、はるかに遠いことが伺われる。国勢調査では学士の増加を目指すべき公立大学が定員数を減らし、就学を奨励する時間帯に志望者の不都合な勤務時間を当てていると、関係者の無知ぶりを指摘している。
人材発掘と英才教育に駆ける政府だが、教育現場の無関心と無知ぶりが国勢調査の結果明らかになった。教育省の〇三年度大学教育に関する実態調査の結果では、目的とは裏腹に目標から遠ざかっている現状に、批判が集まっている。
現在就学中の大学生は、三百九十万人。私立大が七一・八%の二百七十五万人。公立大が二九・二%の百十五万人。大学院は合計で千八百五十九人。私立が八八・九%の千六百五十二人、公立が一一・一%の二百七人。専門学校は総数が一万六千四百五十三人。私立が六五・六%の一万七百九十一人、公立が三四・四%の五千六百六十二人。
政府目標では二〇一〇年で大学進学率三〇%達成を掲げているが、計画の停滞で関係者の怠慢ぶりが暴露された。全学生の四〇%を公立大で養成する計画も、二九・二%に止まった。公立大の怠慢を補うため、政府は市民や私立大の参加を呼びかけ人材発掘の国家目標を達成する考えだ。
過去三年の私立大進学率は一五%向上したのに対し、公立大は八・一%に過ぎなかった。昨年一年で私立大は総学生数を、全体の六九・七%から七一・八%へと二%も引き上げた。
ブラジルの主な十大学院では、一位に学生十万人を抱える州立エスタシオ・デ・サー大の大学院。三位に四万四千二百人の学生が在籍する州立サンパウロ大学(USP)の大学院が、顔を出している。七位に州立ピアウイ大学院、八位に州立ゴイアス大学院。国立大はゼロ。他は私立大。
こんな調子でブラジルの英才教育が行われるなら、目標達成は夢のまた夢。国家発展の基礎となる教育を確立するため、教育に投資をすべきだ。カルドーゾ前政権で国家計画として国内総生産(GDP)の七%を教育につぎ込む考えであった。しかし、実際には四%しか回って来なかった。現PT政権では、そんな計画など忘れられた。
教育省の高官らは公立教育機関による目的達成を諦め、悔しいが民間教育機関の活躍に期待している。英才といわれる人材は、低所得階級の中に埋もれている。公立大がこれら人材に門を閉ざしているのは、授業時間が勤務時間と同じなのと、時代が求める専門コースがないため折角の奨学金制度が死んでいるからだ。
私立大は時間的には、便宜を図っている。時間帯の問題は、国家教育計画の重大な手落ちだ。また定員に対し志望者不足のように報道されるが、非現実的な大学の科目内容と貧弱な学部体制に、苦学生は便乗できないのが実情のようだ。