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バイオ関連法案が上院通過=大豆生産者に朗報=遺伝子組み換え大豆を植え付け=下院承認まで暫定令

10月8日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】上院は六日、バイオ関連法代案を賛成五十三票、反対二票で可決した。これで遺伝子組み換え(GMs)大豆の生産販売が解禁された。幹細胞の研究は、三年間凍結したものに培養を公認した。上院が承認した代案は、下院でGMsの販売と研究を禁じた法案を却下するものとなった。同代案は下院へ回され、再審議を行う。下院の表決は十一月になるので、すでに始まっている播種期のために暫定令が公布される模様。
 承認されたバイオ関連法の主な内容は、次の四点。
一、国家バイオ保全委員会(CTNBio)が、国家バイオ審議会(CNBS)の管理下で決定権を有す。二、GMs大豆の生産販売を正式に栽培許可品目(RNC)に登録する。生産者が、保管しているGMs種子の再販売を禁じる。状況に応じて同規定は、延長することもある。
三、GMs種子、苗木の輸入販売に課した負担金徴収(Cide-OMG)や小農向けバイオ奨励金(FIDBio)は中止。
四、凍結して三年以上経過した幹細胞の使用を認める。幹細胞の使用に際し、本人の許可を得る。営業目的の使用は禁じる。クローン技術の適用は、治療とその他の目的も禁止する。
 同代案は下院へ回り、憲法や法制、環境、農業の各小委員会で再審議を受ける。または下院議長が緊急議題として扱い、直接本会議で表決に付すこともある。  下院では二月、同案を一度表決した。幹細胞の研究を禁じ、GMsには数々の障害を設けた。それが、やり直しとなった。下院では医療関係者十八人が招集され、緊急強行軍で代案の見直しを行う。下院にはGMsの承認に、強硬な抵抗をした宗教関係や環境団体の代表議員が多い。
 大統領府では八日に関係者を集め、すでに大豆の植え付けが始まったことで後手ながら暫定措置の内容を検討している。
 一方、医療関係者間では幹細胞の研究に、上院代案が門戸を開き安堵している。上院の審議には、多数の難病患者が車椅子で傍聴に駆けつけた。幹細胞の使用解禁が、患者らの運命を決める可能性があるからだ。難病患者にとって幹細胞治療が命綱となり、バイオ関連法可決を執拗に拒む宗教関係者を、うらめしく思っているようだ。
 同案上程者のスアスナ上議(PMDB)は、治療用のクローン技術適用で上議らの了解が得られなかったことは遺憾とした。幹細胞治療の拒絶反応に、クローン技術の併用が欠かせないからだ。このクローン技術応用案が却下されたことで、最も被害を受けるのは低所得者層とみられる。
 金持ちは国内でクローン治療がダメなら、外国で治療を受ける選択肢がある。クローン技術の応用では映画などで間違った先入観があり、まだ誤解は解けないようだ。外国では日進月歩の医療技術の発達により、不治とされた難病が次々治癒している。難病患者は宗教信条と難病治癒の関係が、解らないという。