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移民のふるさと巡り=赤道の4都市へ(6)「アマゾン群馬の森」へ=植樹、原生林内を散策

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10月8日(金)

 ベレン二日目、九月十八日朝――。熱帯とは思えないほど爽やかだ。ホテルの朝食、フルーツの甘味が強い。南雲団長は「僕なんかには甘すぎるぐらいだ。雨が降らないで、太陽光線が強いからこんなに甘くなるんだろうね」と感想をもらす。
 午前八時にバスは「アマゾン群馬の森」目指して出発。ここは在北伯群馬県人会(岡島博会長)が一九九六年に土地売買調印した原生林保護地区だ。九二年のリオ・エコサミットに共鳴した県人会員が呼びかけ、故・久保田富一郎県議ら理解者の支援で設立した。
 南緯一度、赤道直下の熱帯雨林だ。ベレンから五十キロのカスタニャールに位置する五百四十ヘクタールだ。この森を拠点に、人間の営みと自然との調和をテーマにしたプロジェクトが幾つか進められている。
 九時過ぎに到着。さっそくふるさと巡りに参加する二十八県人ごとに分かれ、にぎやかに一本ずつモギノ(マホガニー)を記念植樹する。
 十時からは敷地の一角にある原生林内を十五分ほど散策。森の中に入ると、温度が急に下がる。昼なお暗く、強烈な多湿だ。夕方四時には森の中は真っ暗になるという。ふかふかの落ち葉を踏みしめて歩く。
 コース入り口近くに、この森のシンボルがそびえる。「この紫イッペーは樹齢三百年以上、高さは約六十メートルあります」と宇田川勇・県人会専務が説明。一同ホーッと感嘆の声をあげ、しばし見とれる。
 所々に倒木や枝・蔓があり、ちょっとした探検気分だ。欧州には二百五十種類の樹木があるが、このアマゾンだけで五百三十七種類もあり、貴重な生態系を形成しているという。
 「吸血ヒルとか、上から落っこってこないの?」との疑問を飛ばす参加者に、宇田川専務は「この辺には変なのいませんよ」との返答でホッとする。
 「この木は、立ったまま枯れて死んでいるんです。冗談みたいですが〃タチガリア〃という名前で、一生に一回だけ、六十年に一度花を咲かせ立ち枯れします」との説明に、またまた一同はホーッと感心する。
 何気なく足元を見ると、無数のアリ、アリ、アリ。「中には三センチぐらいになるものや、噛むとすごく痛くなるのもいます」。参加者の中には、サンダルを裸足にはいて歩いているご婦人も。ちょっとヒヤヒヤ。わずかな時間だが、大自然の一端に触れ、みな興奮気味だ。
 最後尾を見ると、車椅子の参加者の姿も。「どうやって」と思ったら、旅行社の人が活躍したとのこと。ガイド稼業も楽じゃない。
 群馬の森ビジターセンターには、色々な熱帯フルーツが山盛り。サボテンの実というドラゴンフルーツ、椰子の木の実というププーニャ、サポチーリャ、アプリコなどだ。珍しいものに対する食欲はすごい。殺気立った訪問団により、瞬時にしてテーブルに黒山の人だかりができ、押し合い圧(へ)し合いとなる。
 州、群馬県、JICAが共同で進めている環境調査団の一員として、群馬県庁から派遣されている土屋真志専門家も一同の歓迎に現れた。
 十一時から歓迎セレモニー開始。岡島会長は「我々は農業で生活してきた。子弟の大学教育をし、瀟洒な家にも住めるのは全てアマゾンのおかげ。そのお礼に、環境保全ができないかと考えた」と森の設立動機を説明した。
 「昨年十一月に他界された久保田先生の遺志を継ぎ、ブラジル社会へのお礼の気持ちを込めて、ますます力を込めてやっていきたい」と力強く語った。   つづく
★「群馬の森」詳細=http://amazon-gunma.hp.infoseek.co.jp/
   (深沢正雪記者)

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