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ブラジルマンゴー正念場=日本から検疫検査官=農拓協「ブラジル側が本腰入れるかの疑問」

10月7日(木)

 小泉純一郎首相来伯の「置き土産」でもある、ブラジル産マンゴーの日本向け輸出が早ければ来週中にも開始されると六日付エスタード紙が報じている。ただ、世界でもっとも厳しいといわれる日本の輸入農産物の検疫検査に合格したものだけ輸出されるという条件付きだ。
 輸出される予定のマンゴーはトミー・アトキンス種で、ブラジル農務省は年間五万二千トン・総額千四十万ドルの売り上げを見込む。昨年の欧米向け輸出額は合わせて七千百万ドルだった。産地はバイーア州サンフランシスコ渓谷のリブラメント地方、およびサンパウロ州で、昨年の総生産量は八十二万トンとなっている。
 対日輸出が順調に行けば、他国への輸出拡大にも弾みがつくことから、ロドリゲス農務大臣は「日伯間の新しいアグロ・ビジネスの幕開けとなる。ブラジルのフルーツ業界にとって大きな期待が持てる話だ」と明るい見通しを語る。
 一方、原林平農拓協会長は両国の取り組みに注文をつける。「日本の検疫の厳しさにブラジル側が本腰を入れて取り組むのか疑問」とし、「やるならば、食料自給率の低い日本は食料を買ってやっていると恩を着せるような態度ではなく、対等なパートナーとしての関係を築いてもらいたい。そうしないと緊急時には相手にされないだろう」。
 原会長はさらに、バイーア州の農場に投資しマンゴーの栽培・輸出に成功しているフランス資本のスーパー、カレフールの戦略を例に挙げ、日本側に対し安定供給の重要性を強調した。
 日伯間のマンゴー交渉は三十二年前から始まり、小泉首相の来伯でブラジル側と合意した経緯がある。