10月6日(水)
パラナ州ウライ市の市長選に出馬していた八十六歳の市村進氏(PDT、帰化人)が、三日の統一選挙で当選した。全国でも最高齢の市長候補者だった。四年の任期を務め上げたときには九十歳の大台を迎える。「私の年齢に首をかしげている人も多いが、頭を使うことではまだその辺の青二才には負けない」と、四年ぶり四度目となる市長職への意気込みを語る。
北パラナの中心ロンドリーナ市から約五十キロ。一九二二年に日本人移民が入植し町の礎が築かれた。現在の人口は一万二千人で、今回、有権者七千六百九十六人の四五%の票を獲得。ほか三人の候補を押さえて当選した。
一九六三年に四十五歳で初めて市長となり、以後三期にわたって市長を務めた実績がある。前回選挙では落選の苦杯をなめたが、このたび見事返り咲いた。
「日本人移民が造ったこの町のため、日系の私がもう一度ご奉仕したいと思っている。また製粉工場などを誘致して雇用促進を図るなどしていきたい」。帰化人だが、「日本人の勤勉さを誇りとしている。正直で曲がったことが大嫌いな私の性格は一生直らない」と言い切る。
新潟県出身。一九二〇年に一歳九カ月で両親と伯父の四人で、サンパウロ州リベイロン・プレット地方に入植した。三八年にウライ市に移転、四六年には一家で六十アルケールのコーヒー園を経営していた。四八年からは、コーヒーや大豆の収穫用袋に使用する繊維ラミーを栽培。最盛期には最大の収穫量を誇り、「ラミー王」と称えられた。最盛期には、一万人以上が農場で働いていたが、七〇年代の化学繊維の普及で衰退。現在はカフェーや大豆栽培を手掛け、六百人以上の雇用を提供している。
夫人のムツヨさん(77)は「祖父が警察官だったせいか、融通が利かない性格で、コチコチの石頭。六人の子供らには子煩悩ですが」。
次男のエドゥアルドさんは「兄弟六人とも、ここを離れず事業を手伝い仲良く暮らしている。前回の市長時代にはボランティアとして、身内までが無給で保育園の手伝いにかりだされた。今回もボランティア活動をすることになりそう」と、父親を家族一丸となって応援するつもりだ。