9月30日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】米国ワシントンの国際復興開発銀行(IBRD世銀)は二十八日、ブラジル企業の五一%が政府職員に賄賂を支払っていることを公表した。さらに、「政府の汚職構造が企業の営業活動の障害となっている」と企業の六七・二%が訴えたという。他に「重税が取引の妨げとなっている」とした企業は八四・五%。「経済活動に必要な政治的安定がない」は七五・九%。「クレジットの不足」は七一・七%と、IBRDは発表した。
IBRDは、ブラジルの投資環境と産業発展度を毎年公表し、投資指針としている。同投資白書は五十三カ国三万社を対象に調査したもので、ブラジルの投資環境は他国と比較して恥ずべき結果となった。
結論として「マクロ経済面で低金利政策を実施できない状況にあるので、ブラジルの長期的な経済成長は期待できない」と同行のブルギニョン副頭取は結んだ。民間企業への融資は、大手企業へ集中している。たとえ基本金利の引き下げを実施しても、融資環境の整備を行わないと低金利は生かされないし、投機家の食い物になるだけと評した。
同副頭取は白書の発表後、「世界経済の投資環境を、経済の安定性と司法制度、知的所有権の保護の点で観察してみると、ブラジルについてはそれら三つの点で不安を抱いている会社が多い」と記者団に答えた。「三つの点で不安があるか」との質問に、調査したブラジル企業の七五・九%が「一寸先は闇」と不安を認めた。ロシアは三一・五%だった。
中国で不安と答えたのは三三・七%。経済の安定性が問題としたのは三二・九%で、政治の民主化と投資環境はあまり関係がないようだ。汚職についてロシアでは「賄賂を支払った経験がある」は七八%に達したが、「営業活動の障害になる」と答えたのは一三・七%に過ぎない。
同白書によると、ブラジルの投資環境は二〇〇三年、〇四年と二年連続で不合格だ。悪評はまだある。ブラジルで大口投資契約を結ぶと二十五の役所を経て、出来上がりまで五百六十六日かかる。オーストラリアは百五十七日、経る役所は十一だけ。
ブラジルが投資理想国となるためには、経済成長と貧困層の縮小に重点的に取り組むことという。中国やインド、ウガンダなどは経済成長とともに貧困層を大幅に縮小し、投資効果を挙げたことを参考にするよう同副頭取は指示した。
同行はブラジル政府に対し、特に四点に重点を置いて改革を進めるよう注文した。一、経済の安定と知的所有権の保護。二、税制の簡素化とコスト削減に向けた税率調整。三、金融制度とインフラ整備の強化。四、労働力の有効利用と労働市場の整備。この他国策として、銀行の協力を得て、リスク管理方法を中小企業へ指導するための公的機関を設けること。
監査庁のピーレス長官は、IBRD白書にショックを受けたと述べた。企業の五一%と灰色政府職員との癒着関係は、直ちに断ち切るべき課題とした。これは取り締まりだけでは不可能で、メンタリティの改革から始めるという。また同白書が指摘した、資金洗浄で動く二兆五千億ドルの不正資金は、汚職の温床で、麻薬や武器の密売よりも深刻な問題と同長官はみている。