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サバイバルに必死の企業=経費の徹底削減を忘れるな

9月29日(水)

 【スセッソ誌】産業界は長い冬が終わり、ようやく春の到来が見えてきた。どこも肩を取って裾に継ぎ時間を稼いできた。八年にわたる凶年で得た教訓は、企業の生命線以外は、下請けへ出し経費を徹底的に削減すること。社員は常勤とせず必要なだけ外注すること。利益の捻出と間接経費の徹底削除だ。これは景気回復後も忘れてはならない教訓となった。
 A君とB君は同じ大学の土木建築学科を卒業し、軒を並べて工務店を開業した。A君の会社はトントン拍子に業績を伸ばし、社員も多数採用し大きなビルへ移転した。B君の方は、堅実経営で目立たなかった。
 久しぶりに二人は会食をした。A君は待ち合わせに遅刻した。好調な業績を一人で喋りまくった。A君は話の腰を折ることも再々、ほとんど他人の話は聞かない。B君にとってA君は、遠い存在になりつつあった。A君はB君が足踏みしていると思った。
 やがてブラジルに不況が襲った。A君がアポも取らず、B君の店へ突然現れた。工事契約の取り消しや工事費の踏み倒し続出。従業員に給料が払えない。銀行も金融業者も相手にしてくれない。移転した新ビルは維持費が高く、金食い虫だとつぶやいた。
 B君はA君が二万レアルの債務で窮していることを知り、貸すといった。但し、A君の会社の株を五〇%譲渡する。経費の支払いは全て、B君の許可を取ると条件を付けた。
 景気の波に乗って拡張に拡張を続けた会社は、銀行から大口融資を受け運転資金を調達する。会社の規模も大きくなり、経費も多い。そんな時不況がやって来る。経営者は、経費削減や人員整理に奔走する。
 毎夜ストレス地獄にさいなまれる経営者になったことを後悔する。資金調達のためにアセかきベソかき、ハジをかくことがない従業員がうらやましい。収入は少ないけれど、夜はグッスリ眠れる。
 世界経済は、グローバル化の波に乗り大きく変わった。各企業の経営法も変化を迫られ、サバイバル作戦で必死だ。従来の経済学理論や価値観が、大きく塗り変えられた。各自が新しい延命法を立案しなければならないのだ。
 大船に乗ったつもりで安心していた大企業が、次々座礁し難破している。ブラジルを代表する、航空、メディア、自動車、電話など大企業五百社の資産内容を見ると、外貨で設備投資をしている。ほとんどは回収不可能な片道切符。帰りの燃料を持たない特攻隊だ。