9月28日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十六日】メイレレス中央銀行総裁は二十五日、PT政権はルーラ大統領の任期後半において大きな経済的成果を収め、大統領再選に向けた道を開くであろうと述べた。与党内からも生産部門をないがしろにしたと中銀が批判を受けたことに対し、同総裁はインフレ率を射程内に収め、雇用と景気回復にも努めたと自信の程を呈した。次は議会へ中銀の独立権限要請案を上程し、初期の目的の達成を信じているという。
メイレレス氏はPSDB所属の下議だったが、中銀総裁就任のために離党を余技なくした。中銀総裁は立場上、政治的発言を禁じられているため、いつかは政治家として返り咲いて野党の常軌を逸する批判に対し、一矢報いたいと真情を吐露した。
同総裁は記者団に、ブラジルの経済情勢を次のように説明した。
【ルーラ再選への基盤は】客観的に見て再選は可能だ。国民の政権評価も悪くない。政府の経済政策に対する構造的基盤も確立し、任期後半にはさらに大きな経済成果が期待できる。
【ルーラ再選の立役者は、財務省か中銀か】経済政策の目的は再選ではなく、ブラジルの経済成長。国の経済が順調に伸びて所得や雇用が向上すれば、経済政策が正解であるということの証明で、結果として政府へひいては大統領へ有利にことが運ぶということ。
【中銀総裁後、政治家に戻る夢は】政治家に返り咲くには、中銀総裁は国民の票集めの点で不利な商売だ。これからの十年は物事が大きく変わり、政治も世界情勢も変わると思う。
【元PSDB所属で、今は最大野党として同党を敵に回したことについては】与党であっても選挙に敗れれば野党に回るのは当然。大切なのはPTが政権を執り、堅実に政権を運営していることだ。ただ野党がPSDBも含め常軌から外れ、負け犬のムードをかもしているのは醜い。
【中銀は政治的圧力に、どう対処するか】中銀は正式に独立権限を認められていないから、駆け引きや資金調達ができない。ブラジル経済は大きく成長し、中銀は独立権限という新しい服を必要としている。政治的圧力といっても、大統領や財務相からは全くない。
【中銀は投機家の太鼓持ちという批評は】中銀の役目は、世界の中銀と同様にインフレ管理にある。中銀設定の金利は、投機家を肥やすためではない。今後は低金利とインフレ抑制を実現し、国家の問題を解決するための議論を交わす。
【FRB(米連邦制度準備理事会)同様、中銀の役割に景気回復や雇用創出も含まれるか】FRBには明確な目標がないので、比較の対象にならない。中銀の役割は、経済成長を遂げるためにインフレ率を安定したレベルにまで抑制すること。経済成長とインフレの間に方程式はない。産業部門がより多くの利益を得るために、どの辺でインフレを抑えるか中銀が目標を設定している。
【中銀と経済成長の関係は】産業をマラソン選手だとする。コーチは選手が優勝するために、ドーピングによらない体力強化の方法をとる。これが中銀の考え。
【ブラジルにドーピングは不要か】マジック療法やショック療法を試み、小さなバブルは生じたが無益だった。ブラジルが〇五年、〇六年と経済成長を続けるためには、体力を付けるのが一番だ。