9月28日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】経済回復の兆候を受けて内需の伸びが顕著となり、生産業界は能力限界ギリギリまでの生産を続けている。これに対応するため短期の設備投資の必要性が叫ばれているが、企業筋は一歩後退して静観の構えを見せている。
パロッシ財務相は今年のGDP(国民総生産)を四・五%と上方修正したのに加え、来年の目標を五・五%から六%との見方を示している。さらにカントリーリスクが低下したことから内外に投資を呼びかけている。とくに国内産業には、設備投資を行った企業にはIPI(工業製品税)の引き下げなどの優遇措置を持ち出した。
これに対して企業は現在、稼働率が生産能力の限界に近い八四%となっており、早急に設備投資が必要だと実感しながらも、先行き経済に不透明な点があるとして静観の態度を明らかにしている。その理由として次の点を挙げている。一、短期間に増産できないため、内需が増えると製品が値上がりし、インフレ上昇の懸念がある。
一、先にSELIC(基本金利)が引き上げられたが、中銀はさらなる引き上げを示唆している。
一、政府が財政黒字の増加のため公費の削減を発表したことにより、消費の減少が予想される。
一、輸出が好調に推移してきたが、運送や港湾施設などの公共設備が改良されなければ頭打ちとなる。
製紙大手のサン・ロベルトは現有能力の一日二百トンから二百五十トンへと二五%アップの増産計画を固めたが、実施を先延ばしした。また、家電メーカーのCCEも向かう三年間で一億ドルを投資する計画をとりあえず三千万ドルに縮少した。しかし、企業筋は長期的には決して悲観的でなく、かつリセッションの到来は否定している。