夕焼けが美しい季節だ。先日タクシーの中でふと空を見上げると、素晴らしい夕焼けだった。 旧市街のレンガ造りの建物に、夕日が映えていた。サンパウロでも醜いとされる地域だろう。だが、このひとときだけは、甘い感傷があった。
国際美術展サンパウロ・ビエンナーレからの帰り道。窓の外の風景を眺めながら、さっきまで目の当たりにしていた、作品群を思い返すと何か物足りない気がした。
今二十六回展の大きな特徴は二つある。まず入場料が無料となり、これまで以上に市民にとって〃開かれた〃展覧会であること。二つは、近・現代美術の「名作」を紹介してきた恒例の特別室が「撤去」されたことだ。
百万人の来場を見込んでいるという。それだけに、子供から高齢者までが夕焼けを見詰める思いで鑑賞出来る「名作」の喪失は残念だ。 (大)
04/09/28