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サンパウロ州、税収競争で敗色濃厚=地方活性化が明白に=減税と恩典で牙城を崩す=8年間で80億R$の減収

9月22日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十一日】財務省の国家財政政策審議会(CONFAZ)は二十日、地方活性化の波でサンパウロ州が過去八年間、ICMS(商品流通サービス税)で八十億レアルの税収減と大きく遅れを取ったことを明らかにした。ICMSの州別割合を九七年と現在で比較すると、サンパウロ州は三九・四%から三三・五%へ減収。一方、北東部地域は一三・一%から一四・四%へ、中央西部地域は六・九%から八・八%へ増収となった。サンパウロ州の減収分が北東部や中央西部など他州へ移ったことが明白だ。
 地方活性化のため地方諸州は、サンパウロ州の税収侵食作戦を展開していた。財務省の税収統計によると、ICMS全体に占める割合でサンパウロ州は年々先細っていた。
 財務省の統計はサンパウロ州の減収分が、ゴイアス州やマット・グロッソ州、南マット・グロッソ州、連邦直轄州などへ移り、税収の一局集中が地方分散化へ移行していることを示した。
 南東部地域の税収では過去八年間、リオデジャネイロ州が八・八%から一〇%へ微増、ミナス州が九・四%で横ばい。
 税制改革は、アウキミンサンパウロ州知事を始め多くの州が税制改悪だと抗議した。生産州と消費州の税配分が論争の焦点となっている。サンパウロ州財務長官は七月、他州で購入して得たICMSクレジットをサンパウロ州は認めないと規定した州条例を公布した。現在このクレジットは、商品の一二%にまでなる。
 同条例によりサンパウロ州の企業の他州での購入が激減している。サンパウロ州の条例は十二州に影響を及ぼした。最も被害を受けたのは、サンパウロ州向け商品が集中するゴイアス州と連邦直轄区。
 条例による被害を被った州は、連邦政府の税制行政の拙劣さを抗議した。ICMSクレジットは、地方活性化の切り札であり片手落ち行政が問われている。またICMSクレジットの恩典を享受できる企業は、サンパウロ州に集中している。
 地方自治体との税収論争は、象と蟻のケンカのようだといわれる。サンパウロ州経済の強味が象なら、地方経済は蟻。ブラジルではこれまで、税制恩典を協議するような雰囲気はなかった。
 ゴイアス州と連邦直轄区は、他州に本店を置く企業の営業誘致作戦を行っていた。メーカー向けの恩典を始め雇用創出と利益計上の少ない物流センターを招き、同州で商品伝票だけを発行させ税収を稼いだ。
 他州の税制恩典を認めないサンパウロ州条例に対抗して、地方自治体は報復措置を検討している。サンパウロ州で生産された製品のボイコットに代わり、輸入品のICMS減税を行う見込みだ。輸入業務をサンパウロ州のオハコとせず、地方でも行おうというもの。
 南マット・グロッソ州は減税を発案したゴイアス州や連邦直轄区に先行して実施に踏み切る考えだ。輸入業務は現在四四%がサンパウロ州に集中し、そのICMS税収は二二%、金額にして百億レアルをサンパウロ州が享受している。
 他州は、この税収に食指を動かしている。サンパウロ州は輸入品に、一五%のICMSを課税している。これを他州は、エスピリット・サント州やペルナンブコ州の前例にならって一二%とし、さらに恩典を付加して地方経由で輸入させたい考えだ。