ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

ここだけの小話

9月22日(水)

 【コレクション誌】イタリアの寂しい片田舎で、老いた神父はボロ教会を有名にしたいと毎日考えた。老神父は礼拝堂の片隅で、髪の毛の塊を見つけ思いついた。これを聖ペテロの「あごひげ」として宣伝しよう。
 早速、ヴァチカン法王庁へ「霊験あらたかな聖ペテロのあごひげを発見したので、聖なる遺品として当教会の宝物にしたい」と手紙を書いた。法王庁から枢機卿を派遣して真偽を確かめたいと返事がきた。
 老神父は赤いビロードを敷いたガラスの箱を注文して件の髪の毛を収めた。枢機卿が来るので、老神父は世話係の尼僧に礼拝堂の大掃除を頼んだ。尼僧は窓や戸口を開き一生懸命掃除に精を出した。ガラスの箱を拭くため、ちょっと触った。
 そのとき窓から風が吹き込み、「聖ペテロのあごひげ」が吹き飛ばされた。サア大変、どうしましょう。尼僧は悲嘆にくれて一晩中泣き明かした。明け方天使が夢に現れ、陰毛で代替せよと啓示した。尼僧はハサミを取り出し、バサバサ陰毛を切り取った。
 翌日枢機卿が教会に到着した。老神父の心配をよそに、枢機卿は件の髪を取り鼻に押し付け匂いをかいで、感慨深く唸った。「『聖ペテロのあごひげ』に間違いない。元漁師だけに干し鱈の匂いがする」

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