9月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】サンパウロ市内中心部で発生したホームレス連続暴行殺人事件を捜査しているサンパウロ州保安局は十六日、身柄を拘束していた三人の容疑者を犯人と断定、逮捕に踏み切った。検察は三十日間の拘留期間に取り調べを行い起訴する方針を固めた。
当局によると容疑者らは麻薬組織に属し、被害者の二人はその手先として麻薬密売を行っていたが、売上金の滞納で殺傷された。ほかに殺害された五人と重傷者八人は、犯行を目撃したかどで〃口封じ〃のため被害にあった。当局では複数の共犯者がいるとみてさらに追及していく構えを見せている。
逮捕されたのはジャイネル・アウレリオ・ポルフィリオ容疑者とマルコ・マルチンス・ガルシア容疑者。両者とも現職の軍警で、非番の折にサンパウロ市内中心部で違法に警備をする傍ら、麻薬密売や麻薬組織員の身辺警護をしていた。殺害された通称パンテラと重傷を負った一人(身の安全と捜査上の理由で身許は明かされていない)はともにクラックの密売をしていたが、売り上げの上納金を滞納していたために殺害目的で襲われた。他の被害者らは犯行現場を目撃し、または容疑者の普段の行動を知っていたために、警察への証言を封じるため殺傷された。
当局は、目撃者に顔写真を見せたり、取調べ中に面通しさせたりして容疑者を割り出したほか、犯行に使われたオパラ車も市内タトゥアペ区で発見した。さらに主犯で、麻薬グループのリーダーとされるジャイネル容疑者の自宅から百八十個のクラックを押収した。同容疑者の母親と妹も先週、麻薬密売のかどで逮捕されており、家族ぐるみの犯罪一家だった。容疑者の同僚の軍警らは、逮捕された二人が犯罪者から上前をピンハネしたり、逮捕者から現金を受け取って釈放したりするなど悪徳警官の典型だったが証拠がなく告発できなかったとし、「遅かれ早かれ逮捕される二人」だったと証言している。
三人目の逮捕者はマノエル・アルベス・テノリオ容疑者で、二人と同じく麻薬がらみでホームレス一人を殺害した。同容疑者は夜警をしており、これまでに数人に暴行を加えてきた。市民警備員の叔父ということで、当局は背後関係、とくにと市民警備員との関連を調べている。