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報道言論の自由は束縛せず=大統領、関係者を前に演説=最高裁長官は規制の必要認める

9月16日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】ルーラ大統領は十四日、サンパウロ市内のホテルで開催された全国ジャーナリスト協会の年次総会に出席した。演説に立った大統領は用意してきた原稿を読みながら、言論および報道の自由を束縛する意思はないことを強調した。
 ただし明らかに誤報と分かるものや、偏見あるいはジャーナリストの個人感情が交じったエキゾチックでセンセーションを狙った報道は慎しむべきとの態度を表明した。それには報道機関の責任ある判断と、関連記事に関しては関係者と突っ込んだ話し合いをすることが肝要だとした。政府をはじめとして間違いを犯すのは世の常だが、いかに早く間違いに気付き、軌道修正するかが重要だとの見解を示した。大統領に先立ち演説に立った協会幹部が、現在国会に上程されている連邦報道審議会(CFJ)の設置は報道の自由を侵害するものだと強く非難したが、大統領はこの法案には一切触れなかった。
 いっぽう連邦最高裁判所のジョビン長官はこの法案に関し、ある程度の法的規制は必要との態度を示した。資本主義と民主主義で成立している国家で、これらを否定する報道や刊行物は弊害となるもので、犯罪と同じように取り締まるべきだと強調した。先にリオ・グランデ・ド・スル州でドイツのナチを称賛する本が出版された例を挙げ、これは時代に逆行する過去の遺物だと決めつけた。さらに憲法五条で定められている個人や団体の人権、秘密を侵害しないよう注意すべきだと勧告した。
 しかし、法案を審議する国会議員の反応はまちまちで、与党内部でも報道の自由を遵守すべきとの声が強い。なかには「スキャンダルを恐れる政治家の利己的な自己防衛手段」と批判する向きもある。全国ジャーナリスト協会は、軍政時代の報道規制の再現だと現在までの主張を崩していない。