9月14日(火)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十三日】六十才以上の高齢者が被害者となる事故が急増している。とくに横断歩道や車道での車との接触を原因とする死者数が、サンパウロ市での平均交通事故死者数より六〇%も多い。
過去六年間、六十才以下の交通事故およびそれによる死者は四〇%も減少し、対人口比では先進国と肩を並べる程になった。しかし高齢者の場合は世界でも最低レベルのアフリカ諸国と大差がない。平均寿命が伸び長寿社会となりつつある現在、事故死者数はますます増加する傾向にあり、注意を喚起するとともに防止対策が急務となっている。
いっぽうで年を重ねるにつれて体力の衰え、とくに脚の筋力の低下に伴い、家にひきこもりがちとなることで悪循環となる。こうした中で外出した際、とっさの時の対応が出来なくなる。高齢者の外出度は健康体の若者の半分で、歩行距離は三才の幼児とほぼ同じとの報告がなされている。
サンパウロ州データ分析財団(SEADE)が今年に入り、二〇〇〇年から〇二年までのデータをもとに分析した結果、州内の交通事故死者数の平均が十万人当たり十一・六人に対し、六十才以上の高齢者は十八・六人と六〇%も多い。ことに女性の場合は平均四・八人に対し十二・三人と一五六%も多くなっている。この原因として体力、筋肉の衰えによる反射神経の鈍化に加え、視力の低下が挙げられている。これにより外出度が減り、ますます結果が悪化することになる。
地下鉄公社の調査によると、高齢者の地下鉄利用度は一日平均一・二七回で、全人口の平均二・二回より少なく、さらに三十才から三十九才までの二・六八回に比べると半数となっている。また歩行距離は三才の幼児と大差がないという。
ブラジル歩行者協会のダグロス会長(七二)によると、自分も横断歩道で事故に遭ったと前置きし、途中で信号がビカピカして赤に変わる合図が出ても体が動かず、前にも後にも行けない状態になるという。事故防止のためには、「少々待っても、信号が青に変わった時に歩き出すべき」だとし、それなら横断するのに十分時間があるため足元を見ながら一歩一歩進めると助言している。