9月11日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】マンテガ予算管理相は九日、官民合同プロジェクト(PPPs)の上院での表決につき、わだかまりとなっていた案件を野党案に譲歩すると表明した。譲歩により、建設のみのPPPs適用が廃止。各工事で政府と州、市が参加するPPPsは年間歳入の一%以下に。PPPs実施の際は、財政責任法を順守する。社会インフラ整備は、工事毎に議会の承認を得る。入札法は無期限で順守する、などが政府案に盛り込まれる見通し。
外国投資家などから早期可決を要求されたPPPsが、ようやく上院経済委員会(CAE)で十四日、表決される見通しとなった。その後、憲法委員会(CCJ)へ回り、そして下院へ回されると予算管理相が交渉の経過を説明した。
PPPsは港湾や道路網などの産業インフラ整備を対象とし、社会インフラ整備は特例を除いて除外。PPPsの実施で付帯設備として建設された建物は、工事終了後PPPsに参加した民間企業へ譲渡される。
与野党間の交渉で問題となったのは、ジェレサッチ上議(PSDB)が要求した、PPPs審議会(財務省と予算管理省、官房室の合同班)の決定は多数決でなく満場一致とすること。これまで政府の委員会は、どれもバラバラで責任のなすり合いが多かった。しかし、政府は満場一致に難色を示していた。
PPPsのうち政府単独計画は、〇四年から〇七年までの多年度計画(PPA)に含まれる。その中にはサントス港とイタキ港、南北鉄道の整備計画が含まれている。現在進行中の経済活性化を後押しするためにも、同案の可決は是非必要とされる。年末までに上下両院での表決が終わると予算管理相はみている。
予算管理相はPPPsの中には完成後、資金回収が遅れる事業もあり、PPAと噛み合わせるよう薦めている。多くのPPPsは、この部類に属する。当初の資金回収が少額の場合、政府は援助を行う考え。国道ではメルコスル道のように、最初から渋滞が予想されるところも少なくない。
ジェレサッチ上議は、まだPPPsの先行きに疑心暗鬼だ。同プロジェクトの透明性と整合性を保つため、二案を要求した。第一案はCAEメンバーを三省の官僚四分の一で構成し、政治家を含めないこと。第二案は官民合同とすべき低リスク事業に官官が癒着し、民間をはずすことがないこと。
PPPsと同様の仕組みは十九世紀後半にブラジルを含む様々な国で採用された。英国では九二年にサッチャー首相がPPPsを最初に採用した。続いて九七年、ブレア首相も継続した。英国は五百億ドルを投じて国道や病院、学校、刑務所などを建設した。
またブラジルのほかに、ドイツ、フィンランド、アイスランド、オランダ、ポルトガル、オーストラリア、カナダ、日本、メキシコ、南アフリカでもすでに採用され、または採用が検討されている。