9月10日(金)
「春の風」をテーマにサンパウロ市近郊のアチバイアで九月四日に始まった第二十四回「花といちご祭り」は、初日から多勢の来場者を魅了して好調なすべりだしを見せている。
もともと、この行事はアチバイア日伯文化体育協会(文協)の農産展として始まり、柿祭りに発展し、さらに規模が大きくなり、現在のようなオルトランジア協会(平中信行会長)主催による町を挙げての行事となっている。「日系社会の誇り」(辻修平アチバイア文協会長)でもある。
この誇りある行事の会場で存在感を強めているのが〃餅つき〃だ。MOTIという言葉も定着し、餅つき会場にはANKO MOTI、SHIRO MOTIが日本語と併記されている。壁には「アチバイア花祭り名産! 搗きたての美味しい白餅、あんこ餅、Rs6・00」と表示されている。
非日系ブラジル人や若い日系人の餅を求める姿が増えているのが新しい傾向で、健康志向に加えて、日本の伝統的な食文化に対する理解が深まっている一つの現象であろう。会場にある文協食堂で頑張っているのは、青年層が多い中で、餅つき場では高齢者たちが喜々として白餅やあんこ餅作りに励んでいる。
ブラジル独立記念日の九月七日だけで、百五十キロの餅が売り切れた。今年はモチ米を千四百キロ用意したようだ。
「この祭りでは(文協の)高齢者と青年が役割を分担しながら活動をしています。幸いに餅が祭りの名物となってきましたので、この伝統を若い人たちに伝えていきたいです。花祭りそのものがわれわれ日系の誇りでもありますので、皆さんのご来場をお待ちしています」と文協の辻会長。
花といちご祭りは十日~十二日と十七日~十九日にも行われるので、一つの会場で美と食の両方を楽しむ機会はまだ残されている。