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ブラジル野球に強力助っ人現る=日本からコーチと研究生

9月10日(金)

 ブラジル野球連盟(大塚ジョルジ会長)を通して最近、二人の日本人が来伯した。中央大学準硬式野球部監督の池田浩二さん(38)と、ブラジル野球の歴史について研究する東京外国語大学の高島久美子さん(22)だ。連盟関係者は「日本にブラジルの野球を応援してくれる人がいるのはありがたい」と語る。
 「ブラジルの人たちはみんな優しい」と、大きな体をゆすり嬉しそうに話すのは技術指導者の池田さん。
 日本移民八十周年記念事業の一環で軟式野球全ブラジルチームと対戦するため全日本チームの四番として初めてブラジルを訪れた。今回で五回目、七年振りの来伯となる。
 一方、「もう日本に帰りたくない」と思わず語気を強めたのは高島さん。大学ではポルトガル語を専攻。ペルーのリマ日本人学校に在籍中、家族でブラジルを訪れて以来二度目の来伯だ。
 高島さんがブラジル野球への興味を持ったのは二年ほど前。プロ野球の試合を見に行った際、パンフレットにブラジル国籍の選手を見つけた。「ブラジルの選手がいるってことにびっくりしました。しかも、プロ。どういう経緯で来たのだろうと思いましたね」
 高島さんは、ブラジル代表監督の佐藤ミツヨシさんが校長を務めるヤクルト・ベースボール・アカデミー(イビウナ市)に注目した。いま日本のプロや社会人野球、高校野球でも活躍しているブラジル人の大半が、アカデミーの卒業生。
 「ブラジルの野球のレベルは年々上がっていて、世界レベルの大会でも結果を残している」と池田さん。
 ブラジル野球のレベルアップのために同野球連盟に招待された池田さんは、アカデミーでナショナルチーム選手への実技指導のほか、講演を行う予定だ。「いいヒントを伝え、自分も指導者としてレベルアップできるようないいヒントを得たい」と意気込む。
 気になる高島さんの研究テーマは「野球がブラジルの中でどのような意味を持ってきたか」だという。「ブラジル野球は娯楽、日系人の子弟教育ばかりでなく、社会貢献などいろいろな意味を持ってきている」
 アカデミーでも野球を通した社会貢献を目指しており、学校に通えない子供たちを対象に平日の午前、野球教室を開催中だ。
 「一九六〇年以降のブラジル野球の歴史を包括的に扱っている本はない。これを作って欲しい」と佐藤監督は、高島さんにエールを送る。池田さんには、「〇七年のパン・ナム大会に向けての指導をお願いしたい」と期待を込めた。