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労組、スト攻勢再開へ=会社が吐き出す番=8%の調整と労働時間短縮要求=労働者呻吟の時代終焉

9月7日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】労組連盟のベゼーラ理事長は四日、賃金労働者の給与水準改善のため労使闘争を再開すると発表した。金属や銀行、石油、化学部門の労働者一千五百万人は、十年間に及んだ不況と失業という冬の時代を終え、経済活性化の恩恵分与に預かるため共闘することで結束した。要求は、インフレ率プラス8%までの調整と労働時間の短縮。要求が容認されない場合は、ストへ突入と宣言した。
 不況でしばらく鳴りを潜めていた労働組合が、時は至れりと鬨の声を挙げた。下半期の給与調整から過激な労働運動の再開を表明した。賃金闘争は金属や銀行などの組織化された労組が中心となり、要求を受け入れない企業を標的に扇動作戦が展開される見通し。
 ベゼーラ理事長は九月二十一日、三十日間の回答期限で不況により生じた賃金目減り分の回復請求を行う。CUT(統一中央労組)傘下の銀行員組合は、合意がない場合には二十一日から銀行を閉店すると通告した。金属労組の労働者七十万人は十一月の中間調整までに、インフレによる給与損失分を含んだ一五%の調整、さらにインフレ率プラス八%の調整を要求する。
 クリスマスのかき入れで企業が失地回復に起死回生を賭けている時期を狙って、労組はスト攻勢をかける考えのようだ。これまでの十年間は、不況のため会社を潰しては元も子もないと労組が遠慮した。失業回避と会社が潰れないための生産確保に活動を控え、会社側に譲歩した。
 景気回復で企業は製品の価格調整も行い、生産契約も大量に受注した今、利益分与のチャンスが到来したと労組はみている。企業による甘い汁の独り占めは、あってはならないという。
 労組は給与調整の他、一週間当たり一〇%の勤務時間短縮と時間外勤務の廃止、新社員の採用を求めた。労組は景気回復でインフレ率を十分カバーする利益を企業が得たという。
 大手銀行が予想外の収益を上げたことで、銀行員組合は強腰だ。前政権の八年間は銀行員受難の時代であったが、今年上半期に組合は銀行側の調整案を四度蹴った。しかし儲けたのは国立銀行と一部大手のみで、一般市中銀行は経営内容が厳しいらしい。
 労組間社会経済調査・統計所(DIEESE)によれば、全国の企業二百六十二社で上半期までの給与調整を見たところ、四七%がインフレ率に応じた調整を行い、三二%がインフレ率を上回る調整、二一%はインフレ率以下の調整であった。
 CUTのマリーニョ理事長は、これまでは労働者に犠牲を強いたが、今度は会社が吐き出す番だと述べた。不況のさなか労働者は、失業の憂き目を恐れ、インフレによる損失をいつか回復するとの望みに託して、全ての無理難題を飲んできたとした。
 CUT傘下の自動車組み立て企業組合は三日、過去十二年間で最も高率の調整実施で会社側と合意した。会社側が提示した六千レアル以下の月給の七%調整案は、九月一日に一〇%の調整で組合と決着した。六千以上は、一律六百レアルの本給振り込み。さらに時間外勤務は月二十九時間以内とし、本給の七五%増しの手当を支給される。日曜祝日の出勤は、一三〇%増しとなった。