9月7日(火)
ブラジル日本商工会議所(田中真会頭)コンサルタント部会(桜井悌司部会長)主催の第九回セミナーが三日午後四時から同会議所講堂であり、山下晃明ヤコン・インターナショナル代表が「ブラジルで損をしない方法」をテーマに講演した。講演会には会員約三十人が参加した。
今年に入って日本やブラジルの持続的経済成長が見込まれ、七〇年代のブラジルブームが起きる兆候も見られるが、八〇年代に撤退した企業も多く、なぜ生き延びられなかったかの分析ができていない。これではたとえ新たに企業が進出しても、同じことを繰り返す可能性が大きい。
山下氏は講演でまず、そうした状況に言及し、「撤退した企業のトップは税金、為替、インフレや金利のメカニズムを十分に熟知していなかったことが、(撤退の)大きな原因と考えられる」と指摘。「ブラジルの製造業では売上の四五%、サービス業の一七%が税金と非常に高く、会社のトップであっても、いつも肝に銘じて利益計算できるようにしておかなければならない」と強調した。
また、九〇年三月のコーロル・ショックの預金封鎖で、通貨クルゼイロが市場から消え、翌日にシーザーパーク・ホテルの宿泊料二五〇ドルが七五〇ドルへと一気に三倍に跳ね上がったことを振り返り、山下氏は、今後はこのようなドラスティックな変化はないだろうとしながらも、為替の動向に注意する癖を付けるようアドバイスした。
最近のインフレ率は一〇%弱で推移、今年は一〇%を越えると予測される。仮に年一〇%のインフレが続くと、ドル換算で七年後には、資本金が半減する。現在のブラジルの金利一六%は実質的に世界一、二位。ブラジルの銀行から借り入れる場合、金利の中にインフレ予想率も計算されており、借りる側に高くつくようになっている。
これらの現実を踏まえ、経営者は、資本金を外貨で計算する癖をつける▼分散投資を心掛ける▼税金が売上の何%かを知る▼赤字になったら、即座に赤字経営方法に転換する――などと助言した。
山下氏はさらに、経営者の心構えを語り、「ブラジルに社長として派遣されてきた人は最低五年の任期が必要。サラリーマン根性を捨て、従業員とその家族の生活を支える社会的責任があると肝に命じ、社長業をこなさなければならない」と結んだ。