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NGOに大量の公的資金=正式な手続きを経ず=灰色組織の判別難しく=会計院、監査機関設置を提言

8月31日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十九日】ジェトゥーリオ・ヴァルガス財団(FGV)は二十八日、実態が不明で設立目的が不明瞭な非政府団体(NGO)や財団、福祉団体の設立が急増し、正式な手続きを経ずに政府から大量の公的資金を交付されていることを明らかにした。公的機関とも民間団体とも判別し難いグループへの、資金の新しい横流し法として、こうした公的資金の交付は問題視される。NGOの五五%がこの種の団体で、入札法の適用免除という法整備の不備を突いて政府機関と癒着した灰色組織と見られている。
 これらの団体は、開かれた政府の掛け声に便乗して雨後のタケノコのように続々と設立され、環境や教育、医療などの分野で奉仕団体と吹聴し、政府の外郭団体のように振る舞う。政府機関でも民間企業でもない不透明な公的事業の代行団体で、非営利目的で政府の検査も企業間競争もなく、代行または認可の形を取り、政府の手が回らない分野で事業を展開している。
 各団体は弁護士を抱えて組織化し、法の目を潜り抜けるため、公的資金の横領や汚職官僚と悪徳企業の癒着告発の努力は、水の泡と帰している。
 FGVが調査したNGO三千団体は、五五%が大部分を公的資金で運営、三〇%が自己資金、一五%が公的資金と民間資金だった。半官半民のNGO全てが違法行為を働くわけではないが、民間団体は民間の枠内で活動するべきだとする批判が多い。
 NGOが政府プロジェクトに参加するのは本来の趣旨ではないと、NGO協会(ABONG)はいう。一部協力は認められるものの、公的事業の下請けとなると法の基準に従う義務がある。政府傘下に入るとNGO活動は大幅に制約され、公的活動と非政府活動の境界判断が複雑になる。
 ABONGの統計では、主だったNGO二百五十団体の資金内容は五〇・六一%が外国からの融資や資金援助。四九・四%が地方自治体や民間企業、民間団体、団体収益などとなっている。外国NGOの派出機関で、先進国政府からの資金で運営しているNGOも多い。資金の豊かなNGOと、そうでないNGOの間には競争意識がある。
 環境省代行団体が、環境保護指定地域を外国の環境団体へ一定期間賃貸する計画を立てた。賃貸契約の終了後、契約期間中の利用法を巡り国際的な環境問題が起こるのは必定だとして、この計画は関係筋からひんしゅくを買った。
 第三セクターは不明瞭な部分が多く、悪質なNGOとそうでないNGOの判別は難しいといわれる。前政権では閣僚の奥方が競ってNGO団体を設立して、資金の交付を優先された。それ以来NGOは、競って政治家とのつながりを作った。
 連邦政府会計院は違法行為を防ぐため、公的資金を受けるNGOの会計監査機関を、政府を始め全地方自治体に設置することを提言した。これまでの経過をみると、外部へ委託した公共サービスは政府直轄よりも四倍も割高になっている。ここに不明瞭な資金の動きがあったと同院はみている。