8月28日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】サンパウロ市内中心部でホームレス連続暴行殺人事件が発生してから一週間が経過したが、警察の必死の捜査にもかかわらず、有力な容疑者は浮かび上がっていない。
これまでに四人が重要参考人として取り調べを受けたが、いずれもシロと断定された。警察は先に公表したモンタージュ写真の、犯人と思われる二人の身元を突き止めたとしているが、現在に至るまで二人の足取をつかんでいない。さらに犯人が警察官だという情報も寄せられており、当局は情報を否定しながらも、この線も追っている。
二十六日に行われた合同捜査会議で検死の結果が発表された。それによると死亡した六人はいずれも一撃が致命傷となり抵抗の様子はなかった。凶器は鉄棒あるいは野球のバットのような丸い形状のもので、犯人は同一人物の可能性が高く、かなりの腕力を持ち、凶器の扱いに慣れている人物だという。警察ではこれを受けてグループで押しかけたが実行犯は一人との見方を強めている。
いっぽうで人権擁護団体は、軍警がホームレスを強制連行して事件当日のアリバイなどを取り調べていると、捜査の行き過ぎを非難する声明を発表、事件への波紋が広がっている。アウキミンサンパウロ州知事は、事件の失面に立たされていることにいら立ちを見せて二十六日、「マスコミは一方的な報道をし過ぎだ」と怒りをあらわにし、「捜査は進展している。事件を解明して犯人を突き止め、逮捕する」と改めて強調した。
現在、警察はビルの防犯カメラで撮影された映像をチェック中だが、録画時間が三百時間を超しているために分析が進んでいないとのことで、関係筋から非難の声が挙がっている。これまでに数台のパトカーと自家用車が映像内で確認されたが、車の持ち主は現在調査中としか発表されていない。
またモンタージュ写真の身元が判明したとの情報もあるが、現在までのところそれに関して警察は何らコメントしていない。また、これまでは二十四時間に二十件の割合で情報提供があったが、ここにきて六十件以上に増えているにもかかわらず、警察は有力な手がかりをつかんでいない。担当課は原点に戻り、犯罪者リストの再確認を進めているという。