8月26日(木)
サンパウロ人文科学研究所は、『消えた移住地を求めて』(小笠原公衛著)を発行した。『ボーダレスになる日本人』(宮尾進著)、『臣道聯盟』(同)に続く「ブラジル日本移民百周年記念『人文研研究叢書』」の第三号。
同著は、総合農業雑誌『アグロ・ナッセンテ』(隔月誌)に一九八二年一・二月号から一九八五年十一・十二月号まで、十九回シリーズで連載された記事に加筆訂正し、序論とあとがきを加えたもの。
かつては優に二千余りもあった日本移民の移住地のほとんどが第二次世界大戦、耕地売却、リーダーの離反脱落など様々な理由で消えていった。名称すらも忘れられた無数の移住地のうちキロンボ植民地、内藤耕地など十八箇所を取り上げて記録した研究レポートだ。
宮尾進顧問は「日本移民の生き方が何だったのか分かるかも。日系社会の人たちに読んでもらいたい」と話す。
日系書店や人文研で三十五レアルで入手可能。また『ボーダレスになる日本人』(三十五レアル)、『臣道聯盟』(二十レアル)も販売している。
また、人文研は移民百周年に向けて今年中に日系社会の文芸作品をまとめた本を出版する予定。
『ブラジル日本移民文学Ⅰ(仮)』は、俳句と短歌について。短歌は清谷益次さんが「〃移民精神史〃への試み(アプローチ)」を、俳句は栢野桂山さんが「俳句と移民」をそれぞれ執筆。
詩、川柳、コロニア文学についてまとめる『ブラジル日本移民文学Ⅱ(仮)』も構想中。
宮尾顧問は「みんな九十歳近い人ばかり。我々にできないファイトで原稿を書いてくださっている」と感心している。