8月26日(木)
【一部既報済み】ブラジル日本移民百周年祭典協会は二十四日午後、リベルダーデ区の文協ビル展示室で県連関係者に対する説明会を開催。記念式典の日程や記念事業などについて、現時点での進捗状況を報告。特に資金繰りが不安視される最優先の記念事業「日伯総合センター」について具体的な議論が重ねられると期待されたが、肝心の上原幸啓協会理事長は病気を理由に欠席、終始抽象論に終始した。県連や県人会関係者に留まらない幅広い一世ら約五十人が出席したものの「幅広い世代がセンターを求めているのか」「箱物を作っても、維持をする体制作りが肝心」などと精神論、抽象論ばかりが飛び交い、巨額な建設費用についての道筋は聞かれず終い。議論は空転に終わった。
コロニアに動きが見えにくい祭典協会の考え方を聞きたいと中沢宏一県連会長の申し入れで実現した説明会。協会のトップである上原理事長の欠席に伴い、協会副理事長でもある中沢会長が、協会側の回答者として招かれるなど本来は「攻める」側の中沢会長が「攻められる」側に。
協会側は百周年の公式行事として二〇〇八年六月十八日の移民の日に、ブラジリアで皇族やブラジル大統領らを招いた式典を実施、続いて同月二十一日にはサンパウロでも式典を行うとの日程を明らかにした。
この他に、日伯総合センターなどの大型記念プロジェクトの実現や記念誌の編纂、大相撲大会の招聘、記念切手の発行などを検討していると報告。
特に「目玉」となる同総合センターについては、具体的なタイムスケジュールを明かし、今年中には用地を確保した上で、来年六月には着工、二〇〇七年末に完成、二〇〇八年六月に竣工式を行いたいとの意向を示した。
建設費六十二億円、用地費用八億円に上る同センター。協会によると、すでに用地候補は三ヶ所に絞り込まれており、それぞれが写真スライドで出席者に提示された。
まずアウグスタ街にある二万三千平米の用地は、購入費十二億円。さらに地下鉄バラ・フンダ駅から五百メートルの空き地は一万四千平米で、五億八千万円。最後にセアーザ近くの五万平米の広大な空き地は、五億円とそれぞれに立地条件と金額が違う候補が公表された。
渡部和夫顧問は「百年将来のことを考えないと。日系社会はそれぞれの団体がバラバラでまとまっていない。これを機に一体になれるのでは」と同センターの意義を強調。また、資金的な裏付けについても、テナント形式で入居者に販売すれば可能、との見解を示した。
質疑応答では、「日本政府は箱物への援助をしないと話しているが、どうするのか」「最初から援助を頼りにするのではなく、コロニアが自力で作れるものを検討すべき」と七十億円の莫大な予算を必要とする同センターを不安視、疑問視する意見が相次いだ。
また、「二世三世ら、次世代が本当にセンターを必要とするのか」「立派な建物を作っても、受け継ぐ人がいなければいずれ手放すことになりかねない」など日系社会の総意を集約した事業にすべきとの声も聞かれた。
「土地の確保さえ自分らで行えば、十分日本政府に理解をしてもらえるはず」と渡部顧問は楽観論を示したが、九月に控えた小泉首相来伯時での具体的なアプローチの方策や考え方は示されなかった。