8月25日(水)
広島県の安芸高田市立吉田小学校の松岡亜紀夫教諭は今年三月、安田女子大学大学院文学研究科日本語学日本文学専攻を終え、修士論文「外国籍児童に対する日本語指導改善への提言―カリキュラムを中心に―」を発表しこのほど、製本版を本社に寄贈した。
松岡さんは日本ブラジル交流協会(玉井義臣会長)の第七期生として一九九〇年四月から西村俊治農工学校で西村校長の指導の下、一年間「西村イズム」を叩き込まれた経験をもつ。帰国後、教員となり在日ブラジル人と接する中で、「誰一人として高校へ進学しない」という現状を目の当たりにした。「教員として何か出来ることはないか」と考え、大学院で日本語教育の在り方を探ってきた。
生活言語には支障なくても学習言語に支障をきたし、「中途半端な母語では思考が深まらないことから授業について行けない生徒が多い」という。論文では「生活言語と学習言語のギャップをつなぎ合わせることが必要だ」と指摘。「そのためにどのようなカリキュラムを通して学習に入ればよいか」について提言している。
「現場も忙しいため、誰かが声を大にして言って行かないと忘れ去られてしまう。子供の教育に関して、親には責任があるが、子供に責任はない」と松岡さんは力を込める。
「もう、最後だから来い」と西村校長に言われ、四年連続で来伯中だ。「今回も西村イズムを学んで帰ります」。