8月13日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十二日】バストス法相は十一日、刑務所の過剰収容を解決するため刑法の一部改正案を検討中であることを明らかにした。禁固刑の一部が、日帰り外出制度や自宅軟禁などへ大幅改定され、勤労も容認される見通しだ。刑期の六分の一を終了した服役者は、同改正法の適用を申請できる。サンパウロ州で拘束中の服役者十万人の内、二万五千人が対象になるとみられる。これまでも刑務所の収容力不足を理由に日帰り外出制度や自宅軟禁は行われてきた。
一部犯罪者に適用されている重罪刑が連邦令に抵触しているとする刑法の一部改正案が、近く上程される。同案を議会が承認し最高裁も認めると、多くの服役者が自宅軟禁となり、日帰り外出制度も認められることになる。新法は旧法より必ず改善されたものとなるよう連邦令は定めており、全服役者に恩典をもたらすよう改正案は策定されている。
法相は同改正案を次のように説明した。改正案は報道にあるような刑法の一部廃案ではない。同法は十四年間施行され、効果と問題点を評価する時期にある。現行法を文字通り適用すると刑務所は破裂する。ブラジルが抱える問題は同法ではなく、非現実的な連邦令と司法制度、警察機構にあると語った。
ブラジルは全国で三十万八千人の服役者がいる。そのうち三分の一はサンパウロ州で服役し、四分の一は重犯罪者。法務省が検討中の刑法一部改正案が承認されると、多くの服役者が野に放たれる。検察庁や検事協会は、同案に異議を唱えている。
全国弁護士協会(OAB)は服役者の人権も連邦令の要求するところとはいえ、一部改正案は民主主義への抵触ともいえるという。連日のように行われる刑務所内の殺人や、服役者の非人道的扱いの問題はつねに憂慮されてきた難問だった。しかし、元犯罪者が多数社会へ放免されると、社会秩序と治安が失われるとOABはみている。
未解決のままズルズル引き延ばされた刑務所問題に取り組む法相の人格と立場には、多くの同情が集まっている。OABのリーマ元会長は、同改正案を司法制度の前進と評価した。臭いものにふたをしてきた法曹界で法相の行為は勇気あるものだが、良識ある司法関係者によって検討される必要があるとした。社会はあわてふためくだけでなく、犯罪者の社会復帰に協力すべきだという。
現在施行されている刑法では、一部服役者は六分の一の刑期を終了しても日帰り外出制度の恩典が認められない。刑の三分の二を終了してから仮釈放が許され、当局の目が四六時中光っている。仮釈放期間中は、生きていることさえ犯罪視される。
凶悪知能犯は、所内の規律順守では非の打ち所がない演技をする。悪の道では天才的な才能があり、裁判官や法律を欺く。このケースにはどのような制度も効果がない。
最高裁のメーロ元長官は、同改正案は服役者の社会復帰に有益であるとして賛成票を投じた。これは人身保護令の一形態だという。最高裁判事の多数が同じ見解を示した。最高裁は厳重処罰では何も解決しないという考えだ。処罰とは反対に、服役者の社会復帰に向けた便宜や恩典の制度を設けるべきだと同長官は述べた。