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灯台もと暗し=(上)=防ごう家庭内事故=高齢者は転倒に要注意

健康広場

8月11日(水)

 高齢と共に忍び寄る数々の病ーー。読者の皆さんがよりよい生活を、と始まった本欄「健康広場」ではこれまで数多くの健康法や病気への対策を考えてきた。そんな中、見逃されがちな事実がある。高齢者の死亡事故で大きな位置を占めるのが家庭内における事故であることをご存じだろうか。屋外で車にはねられたり、つまづいたりする事故よりも家庭の中で発生する事故の方が多いのだ。一世の大半が高齢を迎え、同時に体力や反射神経も衰えを見せている。「私は若い」と口にする方も多いが、実は家庭には見えない「罠」が潜んでいる。安らぎの場であるはずの家庭で、本人はもとより家族が配慮すべき点を考察しよう。
 「私は元気」と思っている高齢者はコロニアに多い。確かに八十歳を超えても、一人でバスに乗ったり、長距離を平気で歩いたりと健康な方が多いのは事実だ。しかし、まず高齢者の身体機能についてよく考えて欲しい。
 程度の差こそあれ、高齢になると骨や筋肉などが衰え、転倒したときに手をついただけで骨折したり、尻餅をついただけで背骨を圧迫骨折したりする危険性がある。
 また、体質的に怪我をしやすくなるだけでなく、一度怪我をすると回復が遅く、特には治るまでに長い時間がかかるために,ベッドに寝たきりの間に合併症を併発。結果として死に結び付く病を招きかねない。
 さて、それではどのような危険が家庭に潜むのだろうか――。高齢者の事故で目立つものを紹介すると階段や脚立からの転落▽敷居や浴室などでの転倒▽入浴・シャワー中の急死――などが考えられる。
 まず転落・転倒の予防を考えよう。高齢期を迎えると、徐々に足腰やバランス感覚が鈍くなることもあり、若い時には想像もつかなかった場面で転倒することも多くなる。
 実際、「外出する時に急いで靴を履こうとして転倒した」「夜間に明かりをつけずにトイレに行こうとしてつまずいた」などの事故も目立つ。
 高齢になると本人は意識していないかも知れないが、足を引きずって歩く傾向があるため、ほんの少しのデコボコにも足をとられやすくなる。
 家の中には極力、段差をなくしたり、足もとにつまずきの原因となる物を置かないような心がけが大切だ。また、転倒を予防する履物にも配慮する必要がある。
 ブラジルでも屋内では土足履きを使わず、スリッパを用いる家庭も多いとは思うが、スリッパは特に脱げ易い上、滑りやすい傾向があるので要注意。高齢者を持つ家族も、配慮する必要がある。
 次回はその他の危険性を紹介した上で、対策などを考える。

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