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コラム 樹海

 ブラジルの俳句、短歌の創作者人口が海外で最大であることが、改めて数字で分かった。第一回海外日系文芸祭(海外日系新聞放送協会主催)に応募した人たちの数である。当初の予想以上に多かった▼俳句の部は、かつてパウリスタ新聞が主催した、念腹を囲んだ全伯俳句大会の出席者とほぼ同数だった。今回は、ほかの傾向の人たちも応募したとはいえ、俳句をたしなむ人がまだ大人数健在であることが示された。全伯大会開催の頃の熱気さえ感じられた。応募しなかった人も加算できると思われるので、国内の作句者実数はもっと多いだろう▼短歌のほうも、本社が主催している全伯大会の近年の出席者のほぼ三倍の数字だった。新年の歌会始への応募のように、隠れ歌詠み(知る人ぞ知る、だが)もこういうときに顕在化するので楽しい▼奥地で鍬を使っていたときも、止めて出聖してからも、詠む人たちは弛ゆむことがなかった。年数的にも積み重ねがあるのだ。詠む人たちの層はけっこう厚い。だから、高齢化は避けられないにしても、ブラジルの俳句、短歌は根強く、〃消える〃のはまだまだ先である▼現在、発行されている俳誌に仲間の訃報が掲載されるときがある。みんな高齢だ。ボケ防止だとかいいながら、他界する直前まで作句、作歌を続け、現役だった。朽ちる直前まで自力でやれるのである。そういうワーク(仕事や研究)なのだ。もとより本人が一番良くそれを知っている。門外にとって羨望に堪えないのである。(神)

 04/08/11