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砂糖黄金時代の再来か=10年までに60億$投資=原油高と環境が追い風=WTO勝利が起爆剤に

8月10日(火)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙八日】サンパウロ州サトウキビ農産加工連盟は七日、原油市場の先行き不安と多種燃料エンジンの製造販売などで同業界が活況を呈し、二〇一〇年までに六十億ドルの新規投資が見込まれると発表した。同期間の植え付け面積は現在の五百五十万ヘクタールから七百五十万ヘクタールへ、さらに新しいアルコール醸成工場が四十カ所、新たに四十万人の直接雇用が生まれるとみている。世界貿易機関(WTO)の勝利により、砂糖の黄金時代到来が期待されている。

 
 サトウキビ業界にとっては、プロアルコール計画以来三十年目の黄金時代第二波といえそうだ。サンパウロ州で新たに二百万ヘクタールのサトウキビ畑がお目見えし、一億六千万トンを新規増産。これで年産五億一千九百万トンのサトウキビ王国が誕生するという予測だ。
 活況の理由には事欠かない。中東に始まる世界情勢の混沌化による原油市場の先行き不安、石油燃料依存からの脱却、環境に優しい自動車燃料としてアルコールが急に注目され出した。それにEUの砂糖補助金をルール違反としたWTO裁決が、サトウキビ産業の活気に拍車を掛けた。
 ブラジル産砂糖はこれだけで向こう二年間、三百万トンの砂糖輸出の増加が見込まれ、七億ドルの外貨が稼げる計算。同業界は新規市場の開拓などで、より強気に五百万トン輸出の予想を立てている。WTO裁決で、当国砂糖産業の将来性に関心を持つ国際投資家も多い。
 名実ともに砂糖とアルコールで世界最大の生産国となったいま、国際投資家の熱い眼差しがブラジルへ注がれている。砂糖王国となった原動力は、世界の最先端を行くサトウキビ生産者の生産技術といえる。七〇年代の石油ショックに続く第二波が、中東情勢の悪化と環境問題の深刻化でブラジルに寄せている。
 排気ガスの排出量制限を義務付けた京都議定書が〇八年から発効することで、アルコールの役目はさらに注目が予測される。日本政府は年間、十八億リットルのアルコールをブラジルに注文した。排気ガスによる温暖化現象が地球環境を脅かし、人類が存続の崖渕にあることは既に衆知の事実となっている。
 ブラジルは牧場をサトウキビ畑に転換すれば、拡張増産の可能性は大きい。しかし、計画的に拡張する必要がある。やみくもな拡張後、九〇年代にアルコール価格が暴落したという苦い経験を生産業者は味わった。その時は、アルコールを砂糖に切り換えて輸出に走り、苦境をしのいだ。
 サンパウロ州ではアラサトゥーバ地方が新しいサトウキビ生産地帯として注目され、他業種のコペルシトルスやドゥッポン、スマル、M・デジーニなど大手十社が現地調査に入った。同地方は北東部各州やミナス州の季節労働者が、収穫期に大挙到来するものとみている。
 牧畜王国のアラサトゥーバ地方がサトウキビ畑へ変貌しつつある。地主たちがサトウキビへの転換で、第二の人生を夢見ている。多くの牧場主がサトウキビ生産農家へ牧場を賃貸し、よい成績を上げているのが刺激となった。この傾向は、マット・グロッソ州、ゴイアス州、三角ミナス州へと広がりつつある。