8月7日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙六日】全国自動車工業協会(ANFAVEA)は五日、〇四年の予想生産台数が昨年同期比で一五%増の二百十万台(金額にして七十五億ドル)となり、ブラジルで五〇年代に車両生産を始めて以来の最高記録となることを明らかにした。特に輸出の注文は十二月までに全体で昨年比三六%の伸びを見せた。トラックは七月までに、昨年比一四二%増と勢いづいている。産業のけん引役である自動車産業が、動き出したことで経済関係者の期待が高まっている。
自動車産業に活気が出てきたのは、輸出の伸びが貢献している。輸出向け車両は六十三万台で生産の三〇%を占める。特にトラクターの輸出は一台当たりの価格が高額で有利。小型車もメキシコやアルゼンチン、ベネズエラなどの外国で評判がよい。
輸出の伸びには、世界的な景気の底入れが伺える。〇四年七月までに四十三億ドルを輸出、昨年同期比で五六%増という実績。国内市場よりも外国市場で活気があふれていた。
七月の生産台数は十八万八千六百台で、七月の生産としては歴史に残る成績だった。七月までの累計では百二十二万台、昨年同期比で一八%増。国内市場の売上は七月までの累計が八十五万六千九百台で、昨年同期比一二・三%増。過去六年間で、最も活気のある七カ月であった。
ANFAVEAは国内市場の動きを、今一つとみている。輸出では活発な動きがあったが、設備投資に走った組み立て企業はない。九〇年から九七年までに百五十億ドルの設備投資を行ったような確固とした意欲は、自動車業界にはまだない。
部品メーカーにも増産に向けた原料確保のための投資が欲しい。例えばタイヤなどは原料確保の投資が必要だ。これまでも同業界はタイヤ不足に悩まされてきた。自動車用鋼板が値上がりした。他に非鉄金属、プラスチックなども平均で四三%値上がりしている。しかし自動車の販売価格は九%しかできないようだ。
これまで自動車産業の花形は乗用車であったが、今回はトラックに席を譲った。フォルクスワーゲンやスカニア、ダイムラー・ベンツなどトラック組み立て会社は、従業員を増員して工場生産を昼夜二部制にした。
自動車産業全般で雇用が目立っている。七月だけで一千三百人が、一―七月で六千人が新規に採用された。現在九万六千八百人の従業員が雇用されており、この数は二〇〇〇年の九万八千六百人にほぼ匹敵している。
車両組み立て会社は、メルコスルとEUの合意協定の内容を検討している。アルゼンチンはブラジル製車両のシェアが六四%、ブラジル国内の隣国製車両のシェアは二・五%と落ち込んだことで、やり場のない憤懣を抱えている。