8月6日(金)
[ロンドリーナ]当地に本部があるインテグラーダ産業組合(村手カルロス理事長)の躍進がめざましい。〇三年の総売上げは七億二千七百万レアル(前年比四三・九%)、〇四年推定は八億九千五百万レアル。ブラジル国内で日系人が役員をつとめる農協としては最大規模、パラナ州内では四位の売上高に達している。来年、創立十周年を迎える新進の組合だ。
インテグラーダは、マイナスからのスタートだった、といわれる。コチア産組、南伯農協の惨めな解散で、発足当時、農協の信用は完全に失墜していたからだ。現時点で「農協の信用を回復した」という評価を得ている。
九五年、北パラナで「大規模農業に対抗するには組合が必要」という有志の声があがった。地方の有志が集まった。アラポンガス、アサイ、アストルガ、バンデイランテス、コルネリオ・プロコピオ、ヂアマンテ・ド・ノルテ、フロライ、ゴイオエレ、グアイーラ、ロンドリーナ、マリンガ、マウア・ダ・セーラ、ウビラタン、ウライから農業者のリーダーが二人ずつ。二十八人が出資者となり、パラナ州農協シンジケートの代表を含め、初の会議が開かれ、組合として発足した。十四の地区、二十八人が代表。インテグラーダ産業組合と命名された。
村手理事長は「資金もなく、組合員に提供できるものもない。もちろん信用もなかった」と振り返る。役員たちは、自分自身の不動産などを担保に入れて資金を借りる状態だった。
それでも初年度決算で、九千七百万レアルの黒字、三十二の支部、七百二十一の協賛社、組合員千二百の成績を残した。
主な取り扱い農産物は、棉花、アヴェイア、カフェ、果物、ミーリョ、大豆、小麦など。設備ではアサイ製棉工場、アンジラ・ミーリョ加工工場、ロンドリーナ飼料工場。
「組合員を大切にしよう」が原点であり、モットーで、農業技術の指導・提供を重視する。マーケット情報を含め、常に組合員とコンタクトをとる、という姿勢なので信頼度も厚い。現在、組合員四千五百人余り、うち非日系人約六〇%である。三十四の町で四十四の支部、協賛社は千四百四十六を数える。名実ともにパラナ州内の農協の代表格といえるまでに成長した。
年内にカンバラーにミーリョ加工工場の開設が予定されている。慈善活動にも熱心で「プランテ・ウン・ソリーゾ(笑みを育てよう)」企画で、これまで七万レアル相当の物資を州内の貧困家庭の一万人のこどもたちに分け与えた。九六年からは植林事業も始めている。
直面している大きな問題は、穀物サイロなどを銀行から賃貸されていること。旧コチア産組の設備である。銀行による転売などで、施設がいつ使用不可能になるか、といった不安定な状態にある。
村手理事長は、いまのところ、営業地域拡大、他州進出は考えていない。地盤固めを優先する、といっている(中川芳則通信員)