8月5日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙四日】大統領府は三日、中央銀行のメイレレス総裁とブラジル銀行のカセブ総裁を、上院の資産不正操作に関する喚問から外す方向で打ち合わせを行った。ルーラ大統領はジルセウ官房長官やバストス法相その他を招き、時間を稼ぎながら一連の告発のほとぼりを冷ますよう指示した。両総裁は上院が求めた自主的出頭を正式に拒絶し、国税局の報告を基に公式召喚を行うよう上院に求めた。
大統領は、一連の告発を地方選に向けた野党の政治工作とし、経済の活性化が顕著となったことで、地方選の敗北を心配する野党の焦りと評した。
大統領府は、中銀総裁の上院への喚問を遅らせるように数々の布石を打った。上院の喚問は閣僚が対象であり、中銀総裁は招待という形になる。喚問にも選択肢があると考えている。
中銀総裁は三日、パロッシ財務相も同席して週刊誌の脱税告発や不正送金について背景を大統領に説明した。財務相は、両総裁から提出された進退伺いを受理しないことを表明した。
旧パラナ州銀を舞台に繰り広げられた不正送金に関与したという告発で、伯銀総裁は精神的に動揺、議会調査委員会(CPI)の喚問に応じられる状態にないという見方がある。
三日の上院ではゲーラ上議(PSDB)が、両総裁と理事一同の喚問を正式に要請した。PFLも喚問の正式要請で手続き中。両党とも両総裁の辞任を要求する構えだ。両総裁が喚問に応じなければ、政府そのものを犯罪幇助で告発すると構えている。
ヴィルジーリオ上議(PSDB)は、現政権がメイレレス総裁を失えば、替わりの人材はいないとみている。パロッシ路線を踏襲し金融政策を続行することは困難であり、市場にパニックを起こすのは必定と踏んでいる。
一方官房長官は、大統領が週刊誌の告発を根拠のない中傷記事として一蹴したと述べた。同長官は雇用、貿易、工業生産、国内総生産、クレジットの経済指数が、どれも右肩上がりであることで経済スタッフの努力を評価し、人事移動の意志が全くないと言明。
中銀は金融政策の帝王ではなく、ブラジル経済の信用回復と通貨の安定のために奮闘する機関と同長官は強調した。中傷的告発に止まらず刑事告発を行うよう政府は求め、目には目をの応戦を示唆した。
経済回復が思わしくないときは、高金利と財政黒字、ワウドミロ不祥事、赤い四月を槍玉に上げた。今度はPPP(官民合同プロジェクト)や中銀総裁と伯銀総裁を槍玉に上げる魂胆だと大統領は憤慨した。
野党の狙いは倫理問題ではなく、純然たる政治問題と見ている。野党の地盤と楽観視していたサンパウロ市と地方都市で野党候補が追い上げを受けており、それに対する焦りから考え出した告発戦略であると政府は位置付けた。