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米国防省、伯製偵察機を採用=58機、100億ドルで=米陸海軍が実戦配備=ブラジルの技術、認められる

8月4日(水)

  【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】米国防省は二日、ブラジル航空公団(EMBRAER)が開発した戦略用偵察機EMB145の採用を決定し、百億ドルで五十八機発注したことを発表した。同機はフロリダ工場で組み立て、二〇二五年までに納入される。同社はロッキード・マーチンを中心とし、ハリス・コーポレイションとともに企業連合を組み、同社の技術を結集した情報収集用の電子機器を搭載した中型偵察機をもって、国防省の入札に参加していた。

 ブラジル企業の外国での受注として今回の注文は最大規模のものとなった。偵察機は米陸軍と米海軍で使用されるもので、製作はフロリダ州ジャクソンビル市の海兵隊基地跡地にあるEMBRAERの工場で行われる。そのために多数のブラジル人技術者が渡米する予定となっている。
 契約の第一段階は〇八年までに五機を納入、金額は八億七千九百万ドル。二五年まで多数回に分けて、五十八機以上が発注される。EMBRAERとハリス・コーポによって開発された情報収集用の電子機器システム(ACS)は、現地に向けて発送された。
 ACSシステムは、米陸軍のガードレイル・システムと米海軍のアリエスⅡを代替する新鋭システムとされる。国防省の計画では、戦場を空中偵察するために五編隊を形成する。一編隊に七機の工作隊、二機の予備機、一機を作戦機で配属する。五十八機は同計画のはしりで、さらに十五機の配属が検討されている。
 ACSシステムは二〇〇〇年、国防省で設計された。二年後、同設計を基に今回の入札参加企業が完成に向けて競合し、同社が完成させた。偵察機にどのシステムを採用するかは、八月二日まで極秘裏に検討された。
 国防省の要求事項は、一万一千メートルの高度に耐え、六トンの純積載量で時速八百キロメートルの速度で飛行ができ、そして空中給油が可能なこと。
 EMBRAERのフロリダ工場は、元海兵隊の基地跡地を雇用創出のためにブッシュ州知事(大統領の弟)から特別提供された。雇用創出の先駆けとなったブラジル企業に、同知事が期待するところは大きい。
 EMB145は、米国防省にとって唯一の中型偵察機による入札であった。航空機市場でも、情報収集用の電子機器を搭載し数々の技術を蓄積した偵察機として同機は知られている。アマゾン地方で同機は、情報収集に配備され活躍した実績がある。
 ブラジルではR99システムと呼ばれ、監視や情報管理などを行う。機体上部に、エリクソン製の巨大なリモコン付きアンテナ・エリアイを搭載。ブラジル空軍に現在、同機が五機配属されている。
 同機は携帯電話の交信やゲリラ活動、密輸運搬、麻薬取引、環境保護活動などの様子を捕らえて映像化することができる。ギリシャへ同機三機が輸出された。ペルーへ輸出された一機は誘拐拉致の防止に貢献している。メキシコへも海上用に開発したP99が一機、輸出される。EUからも一機、注文が入っている。