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アマゾン、サバンナへ変貌=10年以内に60%が姿消す

8月4日(水)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十八日】森林伐採と地球温暖化現象でアマゾン熱帯雨林の六〇%が、十年以内に姿を消してサバンナへ変貌すると、アマゾン環境会議が衝撃的報告を発表して注目された。
 報告の根拠となったのは、生態系保護を訴える科学者が提出した資料による。会議はマリーナ・シウヴァ環境相の発案で、関係者の責任感を高めるために開催された。国土開発の名目で現在、年間二万五千平方キロの勢いで森林が伐採されている。環境保護の見地から国土開発を押し止めることは不可能と環境相はいう。
 関係技官の推測では、伐採した森林の山焼きで上空に形成される雲が、自然の気象条件を変化させ温暖化を生んでいる。地球全体を取り巻く大気の平均温度も上昇している。
 科学的に実証できないが、アマゾン地域の気候が変化しているのは事実だと宇宙研究所はみている。アマゾン上空の雲の成分も、変化した。だからアマゾンがサバンナ化した後に、熱帯雨林を回復することは不可能といわれる。
 アマゾンでの環境保護システムの不在に気づいたのは、手遅れといえそうだ。山焼きは空気の成分に化学反応を引き起こし、大規模な異変を起こしている。異変の起きた雲をパイロクムルと呼び、異常高温の雲海を形成する。その雲海の存在が〇二年、ロンドニア州で確認された。
 この雲は微粒子で高温の空気塊を形成し、アマゾンの雲とは異質のものである。この雲は付近の雨雲を吸収し、アマゾンの降雨を阻止する。化学反応を起こした汚染雲は気流に乗って外国へ流出し、行き先で雷を伴う豪雨を引き起こす。
 温暖化現象の元凶はまだ未解明だが二酸化炭素説が有力。処理能力以上の二酸化炭素が蔓延しているため、アマゾンの熱帯雨林に温暖化の影響を受けている。樹木の種類が年々減少し、短命化している。温暖化のために成長も早く、老衰も早いので「ジェームス・ディーン・シンドローム」と呼んでいる。
 ブラジルとペルー、ボリビア、エクアドルにまたがるアマゾン熱帯雨林の成育を観察すると、西部地域が東部地域よりも発育が早く短命であることが分かった。東部が平均七十年なら、西部は三十年とされる。樹木にからむ蔓の成長はさらに早く、樹木の短命化に拍車を掛けている。