7月29日(木)
小泉純一郎首相が今年九月、メキシコとブラジルを訪問し、両国大統領と会談を行なうことを検討している、と読売新聞が報じている。実現すれば、現職の首相が訪伯するのは一九九六年八月の橋本龍太郎元首相以来。二十七日の段階ではブラジル大使館、サンパウロ総領事館ともに具体的な情報はないとしているが、移民百周年に向け、記念事業計画をアピールする絶好の機会にもなるだけに、関係者の期待が高まっている。また、来月八月には大型の国会議員団が二つ来伯予定になっており、「ブラジルに対する関心が高まっているからでは」と同総領事館では説明している。
読売新聞によると、小泉首相は九月上旬にメキシコとブラジルの両国を訪問予定。メキシコでは日墨間の自由貿易協定(FTA)調印式に出席後、フォックス大統領と会談し、昨年十月に発表した日墨共同声明に基づく、技術支援などについて意見交流するという。
またブラジルではルーラ大統領らと国連改革を議題に話し合う。
九月上旬の訪問と複数の政府関係筋が明かしている、という読売新聞の報道についてブラジリア日本大使館、サンパウロ総領事館ともに「現段階では何も決まっていない」と話す。
一方、喜びの声を上げるのが移民百周年祭典協会の菊池義治総務副委員長。「具体的な動きが見えてこない」との批判も聞こえる同協会は来月七日に全伯的な関係者による会合を開き、具体的な要望などをまとめ、本格的な作業に取りかかるという。
「小泉さんが来るかもしれないとの情報は得ている。大歓迎です」と語る菊地副委員長は、八月以降は財務委員会などが本格的に始動することもあり、小泉首相の来伯は大きなアピールのチャンスとなるとみる。「記念事業など各種要望もまとまっているはず。日系社会の意思をぜひ伝えたい」と意気込む。
また、サンパウロ市内には小泉首相のいとこに当たる井料固治さんが、移民として来伯、獣医として活動しており、久々の再会という場面も期待できそうだ。
九月来伯が無理な場合でも、十一月にチリで開催されるAPEC(アジア太平洋経済協力)首脳会議への小泉首相の出席は、同総領事館の話では「よほどのことがない限り、可能性は高い」という。
というのも、昨年十月にタイのバンコクで開催された時も、〇二年十月のメキシコのロス・カボス時にも首相自ら出席している。「チリまできてブラジルに寄らないということは、考えにくい」とも。
いずれにしても、年内首相来伯に期待が集まりそうだ。
15代議士が8月に来伯
八月二十日前後に、二つの国会議員団が相次いで来伯する。十九日に来伯予定なのは、国会議員九人を含む総勢約十八人の衆議院議員運営委員会海外視察(代表=武部勤元農林水産大臣・自民)。ブラジルの議会制度の仕組を視察する。
小坂憲次衆議(自民)、一川保夫衆議(民主)、村田吉隆衆議(自民)ら九人の衆議とその夫人、事務局らが十九~二十一日に滞聖し、週末にイグアスの滝へ行った後、二十四日頃までブラジリアを視察する予定になっている。
八月二十一日には、国会議員六人を含む参議院ODA調査団も来伯する。保坂三蔵参議や、昨年の戦後移住五十周年記念式典にも出席した後藤博子参議なども参加する予定。事務局は三人で、計九人が二十一日に来聖し、その後ブラジリアへ向かう。
日本のODA予算がちゃんと使われているかどうかを調査するもので、サンパウロ市ではチエテ川改修工事、交番制度などへの技術協力の実情を視察する。
この七月には松岡利勝衆議(自民)、岡本充功衆議(民主)、木村太郎農林水産大臣政務官らが相次いで訪れ、WTO農産物交渉などについて調査や協議をするなど、交流が活発化している。
石田仁宏サンパウロ総領事は「今年は参院選もあった年なのに、議員が多く来ているのは、ブラジルに対する関心が高まっているからでは」と説明した。