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「貧血を知る」=偏った食事が引き金に=食生活の改善考えて(下)

健康広場

7月28日(水)

  血液中のヘモグロビンが減少し、全身が酸素不足になることから頭痛やめまい、肩こりなどの症状を引き起こす貧血ーー。単に鉄分の不足が原因でなく、ガンや血液の病気、胃潰瘍など様々な理由で生じるということは紹介した。さらに前回掲載した自己診断法で貧血の可能性があると思ったら、すぐに専門医の判断を仰ぐことが肝心だ。
 また、一口に「貧血」と言っても年代別に対策を考える必要がある。高齢者の場合は、食事内容が偏ったり、量が不足するなど食事の栄養不足が原因となっていることが多い。
 ここで食生活の見直しによる貧血の改善法を考えてみよう。
 貧血予防に一番効果的なのが「鉄分」の摂取。次の表1に思い当たる人は、とりわけ鉄分を意識して取って欲しい。現在、一日の所要量は成人男性が10ミリグラム、成人女性が10~12ミリグラムだといわれる。特に女性の場合、一回の生理で約20ミリグラムの鉄が血液とともに失われる。
 ただ一口に鉄分と言っても「ヘム鉄」と「被ヘム鉄」の二種類があり、魚や肉に含まれるヘム鉄は腸における吸収が数倍高い。
 特にレバーにはヘム鉄が多いので積極的に食べるとよい。
 また、鉄分の吸収を高めたり、貧血予防につながるのがビタミンCやB6、B12、葉酸など。こうした食物を一緒に取るとなお、効果的だ。
 鉄分だけでなく、十分なたんぱく質を摂取することが赤血球の生産能力を高めてくれる。肉や魚をしっかり食べ、三食を欠かさない習慣も大切だ。
 食材だけでなく、調理方法も貧血改善につながる。鉄製のふらいぱんや鍋などを使うとわずかだが、器具から鉄分が溶けだし、その鉄分が腸から吸収されるといわれる。酢やケチャップなどの酸味が強い調味料を用いるとさらに鉄分が溶け出す効果も見逃せない。
 一方、控えたい事柄もある。ブラジルでは一般的な食後のカフェも貧血の人は控えたい。
 鉄分はタンニンと結合するとタンニン鉄となり水に溶けずに吸収が妨げられる。こうしたタンニンを含むのがカフェ、紅茶、緑茶なのだ。食後の三十分は控えたい。どうしても飲みたい場合はほうじ茶やウーロン茶がよい。
 鉄分が欠乏して生じる貧血は今回紹介した対策が効果的だが、胃切除によるビタミンB12欠乏、再生不良性貧血など原因は多岐に渡る。こうした貧血は投薬治療が必要なので、まず自身が貧血かどうかを見極め、さらにその原因を突き止めることが欠かせない。

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