7月28日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十七日】SEADE(サンパウロ州データ分析財団)は二十六日、大サンパウロ市圏の勤労者所得が四カ月にわたる続落の後、五月に回復の兆候を見せたと発表した。所得の回復は昨年同月比で四%増、前月比で三・二%増。失業率は、一九・七%から一九・一%へ二カ月連続で低下。大サンパウロ市圏の雇用数は、八百九万五千人と八九年一月以来の高水準となった。六月は、全ての産業部門で雇用が増加した。
SEADE・DIEESEの発表によると、大サンパウロ市圏における五月の勤労者所得は前月比三・二%増、平均九百七十五レアルとなった。失業者は五月に百九十一万一千人となり、四万九千人減少した。
五月は十万七千人が就職し、五万八千人を吸収した。サービス部門では五万六千人が正規雇用で募集された。工業部門は非正規雇用を含め二万八千人を募集、商業部門は一万八千人が就職した。建築部門や家政婦は五千人が新規に採用された。
調査の専門家は、雇用の回復は好調な輸出増加と国内経済活性化の実証という。民間部門での十万七千人就職のうち、五万一千人は正規雇用であることも大きな進歩だ。この新規採用の波は、〇四年一杯堅持されると予想している。
工業界は在庫を削減し生産を増強しているので、雇用創出の見通しも明るい。〇四年は例年より早く、年末景気が五月に訪れた。企業家が市場に手応えを感じ、積極的な設備投資を行ったためとみられる。
当初、景気を一時的バブルとみていた企業家は、時間外労働で人員の新規採用を保留し、情勢を観察していた。その後、景気の基盤が堅いと見て、増員と本格生産に踏み切った。工場労働者の時間外勤務が、四三%から三九・六%へ減少したことがそれを物語る。
勤労者の資産は、前月比で五・四%、昨年同月比で七・四%増加した。雇用回復ばかりでなくインフレ抑制や失業者の減少も、勤労者の資産回復を手伝った。
ルーラ大統領は雇用回復と所得増の朗報に、表情を崩した。大統領には、重い十字架を背負って上った苦悶の長い坂道だった。朝のラジオ番組で、大統領は、まだ失業者の行列があるため、さらなる投資を企業家たちに呼びかけた。国民には希望を持って未来を信じるように訴えた。
カトリック大学(PUC)経済学部のジョゼ・M・カマルゴ教授は、現況の経済活性化が〇五年まで持続するとみている。六月の正規雇用が昨年同月比で三・二%増となり、同時に非正規雇用も八・六%増加した。これは、経済回復の原動力であると述べた。
ブラジル地理統計院(IBGE)の発表では、全国六大都市で六月に七百四十万人が就職。非正規雇用が三百万人、個人営業も含めると三百七十五万人。同教授は、明らかに企業が人件費の増額を計上したとみる。この傾向は次期四半期で正規雇用がさらに増加し、非正規雇用の割合が減少すると予測を裏付けている。