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幹細胞研究を公式支持=科学技術相 宗教界は強硬に反対

7月28日(水)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十日】エドゥアルド・カンポス科学技術相は十九日、クイアバ市で開催された会議「科学の進歩」の席上で、医療目的の幹細胞利用の合法化を支持する声明を発表した。
 上院で現在審議されているバイオ法の中には幹細胞の取り扱いも含まれている。同相は同法の表決に先立ち、幹細胞に関する識者の認識を改める必要があると言明した。国内には生命尊厳の見地から、幹細胞の研究に反対する強硬意見がある。科学技術相は、同研究の自由化に向け尽力していることを明確に表明した。
 下院における同法の審議では、宗教界の圧力により幹細胞の研究を最終段階で全面的に禁止した。政府としては、できるだけ早い時期に遺伝子組み換え作物の植え付けや販売も含めてバイオテクノロジー解禁表決を取り付けるよう奔走している。
 バイオ法の上院表決は再々、後回しとなり八月にずれ込んだ。表決は結局、地方選の後に行われる可能性が大きい。幹細胞の研究は不治の難病で苦しむ疾患者らに、一日千秋の思いで待望されている。
 タッソ・ジェレサッチ上議から上程されたバイオ法は、臍帯だけでなく受精卵からの幹細胞摘出も認めている。幹細胞摘出のために失われる一個の生命が、生命の尊厳を主張する宗教界との間で議論の焦点となっている。
 同研究で多大な成果を上げている海外諸国に遅れを取らないため、科学技術省は来年度にバイオ開発で画期的予算を盛り込んでいる。さらにバイオ法は、宇宙生命の研究や生命と核の研究、パンタナル、アマゾン、セラードの生態系研究などを意欲的に取り込む予定だ。同省は〇四年下半期、千五百万レアルを投じてアマゾンの生態研究班を広募する。