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大統領府、調査会社を告訴へ=政府要人内偵=諜報活動へ対処=調査会社は報道を全面否定=外国紙も内偵内容に注目

7月24日(土)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日既報関連】大統領府は二十二日、ブラジル・テレコムと米系民間調査会社クロールを提訴することを決定した。ブラジル・テレコムの依頼でクロールが、グシケン広報長官の周辺をPT政権の要職就任以前から内偵していたことで、政府は諜報活動への対処を決断した。内偵目的はライバルのイタリア・テレコムの監視とされているが、元伯銀総裁カセブ氏の周辺にも内偵は及び、ジルセウ官房長官も一挙手一投足まで内偵されたとみられる。

 調査会社では世界最大手の一つクロールは、ブラジル・テレコムの依頼を受けて同社のライバル、イタリア・テレコムによる水増し伝票の実態を内偵していたという。多国籍企業間の泥試合が、PT政権の本丸とPTと関係する地方自治体に飛び火したようだ。
 イタリア・テレコムは、クロールによる内偵が四年半前から行われたとした。発端は二〇〇〇年十一月で、同社のコラニーノ社長が携帯電話会社マクシテルの株の三七%を買収するため来伯したとき、男性二人と女性一人が同社長の宿泊したコパカバナ・ホテルの向かい側のビルから監視していたという。
 三人は、買収を斡旋し同社長に同行したカラビ氏(現サンパウロ州経済企画局長官)の尾行を本命としていた。偶然同ホテルに宿泊したフラガ前伯銀総裁が酷似していたため間違って前総裁を尾行し、通報されて逮捕された。三人はクロールの下請け組織のメンバーであると、連邦警察で供述した。
 ミナス州とバイア州、セルジッペ州の携帯電話を取り仕切るマクシテルは現在、イタリア・テレコム傍系TIMの傘下にある。TIMは携帯電話用アンテナ設置の許可を取得するため、サントアンドレやリベイロン・ピーレス市へ賄賂を送ったとクロールは告発したが、証拠はない。
 クロールは広告で新聞紙上の報道内容を否定し、証拠書類はねつ造されたものとの声明を発表した。イタリア・テレコムがCRT(南大河州テレコム)を乗っ取るために行った違法行為を探索するようブラジル・テレコムから依頼されたことは認めた。クロールは、三十二年間にわたる実績と定評がある。ブラジル政府は再々、同社を利用した。
 外国紙も、政府要人の内偵に注目している。英紙フィナンシアル・タイムスは、「第二のワウドミーロ・ジニスは誰か」と政府要人に関心の矛先が向いていることを暗示した。米紙ニューヨーク・タイムスは、ブラジル・テレコムによる宿敵イタリア・テレコムへの挑戦と評した。同紙はブラジル・テレコムのカルラ・シッコ社長とのインタービューを特集に組み、シティグループとオッパチューニティーとの関係に言及した。
 政府要人に外国調査機関の内偵が及んだことで、野党議員が反応した。政府内には事実関係を解明するべきだとする意見がある一方、外国企業同士のケンカに割り込むべきでないとの意見もある。PSDB法務部は、グシケン長官とカセブ元伯銀総裁の関係とイタリア・テレコムとの関わりについて、事実解明を検察庁に求めるという。