7月23日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十六日】農畜産物の今年上半期の輸出は史上最高を記録したものの、GDP(国内総生産)の成長率や他産業の輸出の伸びと比べて鈍化傾向にあり、関係筋は憂慮している。特に輸出の二本柱といわれる大豆と肉類は国際相場の高騰が追い風となったが、大豆は中国と、肉類はアルゼンチンとロシアとの間で紛争となり(一応は解決をみた)今後にしこりを残している。これらを踏まえて業界では関係各省の対外交渉姿勢に疑問を持つ声も高まってきている。
農畜産物の今年上半期の輸出額は百六十億八千四百万ドルと過去最高を記録した。国内農畜産協会は、今年の輸出予想額を昨年比一四・四%増の三百五十億ドルとみている。いっぽう輸出総額は八百八十億ドルと推定され、これは昨年比二〇%増となることから、農畜産物の輸出額の増加率は他の産業を下回る。さらに、農業部門の本年のGDPは五千二百二十一億九千万ドルと、二・七%の成長率が見込まれ、昨年の六・五%を大きく下回るとともに、全体の予想成長率三・五%ー三・七%に満たない。
しかし同部門の輸出は本年好調の出足を見せ、上半期で百八十五億ドルと昨年同期比三五・八%となり、国全体の四百三十三億ドル、同三一・二%を上回り順風かと思われた。しかし中国との間で大豆引き取り拒否問題が生じたことから翳りをみせ、同協会では本年予想を百二十億ドルから百億ドルへと下方修正した。この間上半期の大豆輸出は五十四億六千万ドルと昨年比四五・四%増の高率をマークしたが、これは国際相場がトン当たり二八七・八六ドルと昨年比で三三・二%上昇したのが原因。中国との紛争はこの相場を下げるために仕組まれたと見る筋も多い。いっぽうで肉類も二十七億七千万ドルと昨年比で五七・一%上昇したが、値段もトン当たり一四一五・〇八ドルと昨年の三一%高だった。これもアルゼンチンとロシアの国際紛争を招いた。同業界を代表する輸出産品がこれにより厳しい検品、規制を強いられることから今後は予断を許さない局面を迎えることになる。