7月21日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】財界と連立与党の圧力により政府は十九日、年金調整に必要な資金を捻出するために検討されている社会保障負担金の増額の見返りとして減税をすることを決定した。会社側に負担させる同負担金の二〇%から二〇・六%の引き上げは、地方選前夜に混乱を引き起こすだけだと政府は判断した。ルーラ大統領は、負担金の増額が政府に対する否定的印象を強めるとして減税の前倒し実施を指示した。増額と減税は同時発表の予定。
年金調整の財源確保のための負担金増額案が政財界から予想以上の抵抗を受け、政府は摩擦回避のため増額に見合った減税の早期実施で対処することを決定した。減税案はジルセウ官房長官とパロッシ財務相、マンテガ予算管理相、ランド社会保障相が草案を作成、二十日に公表される。
会社側の負担割合を二〇%から二〇・六%に引き上げ、十八億三千万レアルを捻出する。年金調整分の総額百二十三億レアルの内二十三億レアルを一月から支給し、死亡受給者分を差し引いた不足分は、年度予算から流用する案を財務相が十五日に示唆した。
政府の計算では、年金調整分の分割支給は二十年から二十五年間にわたり、〇・六%の増額は受給者の死亡を計算に入れ、十年間で終了と見込まれている。
負担金の増額は〇五年一月から実施の予定だったが、十五日のテレビ放送では〇四年十一月に前倒しとなった。さらに十九日の予算管理相の談話では、負担金の増額は売上高への課税に振り替えられると、この件は二転三転した。同相の考えは、正規雇用の創出を考慮したものとみられる。
大統領は近日、年金調整分の細則に関する暫定令を発令する。調整作業は九月から始まり、一月以降支給の予定となっている。裁判所へ提訴して控訴中の年金調整分は、六年以内の分割払いとなる見通し。提訴しなかった受給者は、八年以内の分割払い。審理は、年齢と金額を考慮して行われると予想される。
九四年三月から九七年二月の間、最低賃金の調整率は三九・六七%だが、年金の調整にはURV(実質通貨指数)の一五・一二%が適用された。年金生活者が調整の見直しを求めて裁判所へ提訴し、勝訴した。
減税案の一部は、個人の所得税(IR)から一律百レアルの課税対象の控除額引き上げと生活必需品バスケット(セスタ・バジカ)に対するPIS-Cofins(社会保険納付金)免除の暫定令が、十六日に発令された。
配当金付きの長期貯蓄投資に対する現行税率二〇%からの引き下げ、長期国債や長期投資ファンドに対するIRの減税を、政府は検討中だ。国内の貯蓄と投資奨励のための減税は、財務省の国税局や財務局、中央銀行、経済政策局の合同スタッフが協議を行う。
先進諸国が取り組む貯蓄奨励に遅ればせながら、ブラジルも本腰を入れる。現在は一カ月期限の投資信託に預けようと十年期限で預けようと、税制恩典も金利差もなく政府当局者の無関心振りが指摘されている。